成果評価では、目標を設定し、その結果を評価します。
(参考:成果評価)
目標の設定方法について2つのパターン(事例)を紹介します。
- (1) 目標だけ設定する
- (2) 目標だけでなく、目的まで設定する
(1) 目標だけ設定する
一般的な目標設定の型です。
自分は、スタートアップ向けに「自由度の高い」目標設定スタイルをオススメしています。
型の要点は、以下の通り。
- 目標の数は自由。スプシで評価シートをつくる場合、目標を記入できるセルは10行ぐらい用意
- 目標の重要度決め(ウエイト設定)はざっくりでOK、つまり「主要な目標が何か」について認識が揃っていればOK、パーセントで細かく設定することを必須としない(パーセントで決めることも許容する)
- 期初に目標設定するも、期中の1on1で変更することは可(上長の判断とする)
最終的な評価は、各目標に対する結果をそれぞれ評価して、総合的な評価を「エイヤー!!!」で決定します。
「エイヤー!!!」で評価をつけるとサプライズ(自己評価と上長評価のズレ)が心配です。
その心配には、中間評価と期中の1on1で対応します。
(参考:中間評価のすすめ・中間評価は、中間地点の期待成果に対して評価する)
(2) 目標だけでなく、目的まで設定する
もう1つの型では、目標とその目標に対する目的を設定します。
イメージしやすいように例を示します。
例えば、HRパーソンが「人事制度の設計・導入・運用」に関連する目標を複数、設定しているとします。
1社における一人のHRパーソンの目標というよりは、様々な会社における人事制度関連の目標例です。
- 23年1月に人事制度の運用をスタートする
- 仮格付け判定を問題なく完了させる
- 目標設定について、現場のFBを受けて目標設定の「型」をドキュメンテーションする
- 報酬制度の運用を通じて、昇給管理の考え方と今後の方針を決める
- 評価者研修の実施
本論は「目標に対する目的」の設定です。
これらの目標とは何か、要するに目標の「Why(なぜ?)」です。
- なぜ、人事制度を設計・導入・運用するのか?
- なぜ、仮格付けを実施するのか?
- なぜ、目標設定を型化するのか?
- なぜ、昇給管理の考え方や方針を決めるのか?(考えるのか?)
- なぜ、評価者研修を実施するのか?
これが目的を考えるということ。
目標=目的にならないように「なぜ、~~か?」と言語化して、客観視できると深く考えることができます。
「なぜ?」は、横に5回、縦に5回を目安に繰り返してみましょう。
幅広く、深い目的が言語化されます。
そのどれが自分の仕事の「目的」なのか、最後に選択します。
目的を設定する理由は、目標が変わる可能性がある、です。
期初に考えていた目標は、環境が変化したり、期初には見えなかったことが見えてきたり、新規採用でリソース配分が変わったりと、期中に変わる可能性が十分にあります。
目標の期中変更を認めるために、期初時点で目標に対する目的を言語化しておくと、「目的から考えるとこの目標は、こう変えた方がいいかも」というコミュニケーションがとりやすくなると考えています。
1on1でコミュニケーションを取りながらやっていけば問題ないのでは?という声もあるので、その場合は、パターン1の「目標だけを設定する」で制度設計します。
目的を設定(言語化)するのも簡単な作業ではなく、すぐに、だれでもできることではないので、「慣れ」と「思考トレーニング」が必要です。
目的=Objective
OKR における Objective は「目的」、Key Result は「主な結果」。
2つ目の目標設定の型は、OKRに基づき、自分なりに型化した制度です。
OKR の Key Result は「Key」、つまり「主な」結果目標を設定します。
「主な」とは、目標を絞ること。
絞ることで組織の方向付けを強化する狙いがあります。
一方、評価制度における目標は、絞り過ぎると「やったけど評価されない」という不満を招きますので、絞り過ぎる必要はありません。