中間評価のすすめ

マニアックなテーマかもしれません。

評価制度において「中間評価」の導入を、おすすめしています。

例えば、評価期間が6ヶ月の場合、中間地点の3ヶ月で評価を実施します。この中間評価は、個人の評価や給与に反映されない前提です。

中間評価には「評価や給与に反映されないのに、なぜ中間で評価するのか?」「運用の負担が重いのでは?」という声が出ます。6ヶ月に1回の評価(年2回の評価)が3ヶ月に1回(年4回の評価)になるので、評価シートへの記入から評価面談(1on1)、フィードバック、評価調整(キャリブレーション)など、確かに負担は重くなります。中間評価は取り入れず、期末の最終評価のみで運用するケースもあります。

中間評価の効果(メリット)

ただし、こうした運用負担(デメリット)よりも中間評価の効果(メリット)を感じる機会が増えたので、その効果についてまとめてみます。

① 評価サプライズを防げる

最終評価のタイミングで評価のサプライズ(自己評価と評価者評価で大きくズレが生じること)が起きてしまうと、その時点でサプライズを解消することが難しいです。結果として、被評価者は評価に納得できなかったり、評価者が自分の評価を捻じ曲げて「事なかれ評価」が発生し、評価制度が形骸化していきます。

こうした状態を防ぐためにも、評価期間の中間地点で評価を実施することは効果的です。もちろん、このタイミングではまだ成果が出ていなかったり、評価が分からないこともあります。それはそのままフィードバックしてOK。

評価期間が締まるタイミングで、こういう分からない状態・見えていない状態にならないようにお互いが意識できることもメリットの1つです。

② 目標達成の確率を高められる

上記の通り、中間地点で期待される成果をすべて出せているケースは、多くありません。ただし、中間地点までの動きや成果を見て、残りの評価期間の中で帳尻を合わせられるかどうかをチェックし、必要に応じて叱咤激励することがあります。

この叱咤激励が大切です。

日々の1on1で進捗を擦り合わせしていながら、公式な評価で真剣に振り返ります。目標達成が厳しいなら、その巻き返しを真剣に考える機会となります。 被評価者だけでなく、評価者も。

中間評価があることで、目標達成の確率を上げることに役立つと考えています。

③ 柔軟に目標変更できる

スタートアップの目標設定は柔軟性が大事なので、Objectiveはなるべく変えないがKey Resultは変えてよいという考え方を制度に反映させています。(参考:「OKRを、どうやって評価する?」)

1on1で目標(主にKey Result)について話し合い、状況に応じて目標を変えていきますが、中間評価という1つの節目で目標について再度コミットする機会をつくります。目標がフィットしていないなら変える機会を制度としてつくります。

中間評価で見直しができると分かっていれば、期初の先が見えにくい場面でもまずはチャレンジしてみようと、制度が後押ししてくれます。

④ 評価制度の検証に役立つ

スタートアップの評価制度は改善の連続です。運用開始から一定の時間を経たとしても事業や組織の成長と共に、制度が合わなくなってきます。

中間評価で評価制度の課題や改善点を議論できると、最終評価となる期末評価で軌道修正することができます。評価期間中の制度変更が、社員にとって後出しじゃんけんで不利益になってしまう場合は、翌期から制度変更することにはなりますが、利益になることは当然ポジティブに受け入れられます。

こうしたチューニングを臨機応変に実行することは、会社が評価制度を真剣に運用していることの表明でもあり、制度に対する信頼感の醸成にも役立つと考えます。

⑤ 評価に慣れる

期末評価の前に、処遇(給与や昇格など)には反映されない中間評価を経験できることは、被評価者にとっても評価者にとっても、お互いの認識や評価に対するスタンスを把握する上で効果的です。

中途採用がメインのスタートアップでは、前職で評価制度を経験している社員も多くいます。前職での評価の経験があると、自然と「評価はこういうもんだよね」と思い込んでおり、いざ期末評価のタイミングで思っていたものと違っていたとなることもあります。

人事メンバーが新入社員に評価基準や評価シートを事前に説明したり、オンボーディングのタイミングでトライアル評価をやってみたりするプロセス(理解活動)の1つとして、中間評価を位置付けることもできます。

中間評価の改善が次のテーマ

中間評価は運用負担が高いことは間違いありません。そこがネックとなり、中間評価を制度として組み込まないケースもあります。ただし、上記のメリットを考えるとデメリット(運用負担)を上回る効果が、中間評価にはあると思います。

次のテーマは、こうしたメリットを残したまま、いかに運用負担を下げられるか、になります。

これまでも、中間評価では評価コメントを簡易的にする、評価会議はグループ単位のみにする、など運用負担を下げる等、改善は様々です。

改善の知見・ノウハウは、今後の実践を経て、再度ブログに書きたいと思います。

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