給与レンジの上限到達率

給与改定のタイミングで個人の年収を確認する際、年収水準や昇給額・昇給率の他に「給与レンジの上限到達率」を確認します。

この確認が漏れていると、翌期末の評価が終わった後に「給与レンジの上限に到達していたので昇給しなかった」というサプライズが起きてしまうことがあります。

上限到達率とは?

給与制度を導入すると、等級別に給与レンジを設定します。

例えば、3等級は「400-600万」という給与レンジが設定されます。この給与レンジが意味することは

  • 3等級の人材は、年収400万以上である
  • 3等級の人材は、年収600万以下である

です。

「年収600万以下である」ということは、「昇給は600万で止まる・600万以上に昇給することはない」を意味しています。

この給与レンジと個人の年収が決まると、上限到達率が出ます。

例えば

  • 年収400万なら「0%」
  • 年収500万なら「50%」
  • 年収600万なら「100%」

上限到達率が分かると「翌期に昇格しないと昇給が止まってしまう」ということを把握することができます。

昇格候補者の検討材料にする

昇格候補者を検討する際、給与レンジの上限到達率が一定数値(例えば90%)を超えている方は、必ず昇格候補者に入れるかどうかをチェックする、というフローを設けておくと、いざ給与改定となったタイミングで「この人は給与レンジの上限に到達しているので、今回は昇給しない」というサプライズがなくなります。

※昇格候補者に関する参考記事はこちら:昇格者は、どういうプロセスで決める?

上限到達率が分かっていれば、昇格候補者に入れていたかもしれない、という「タラレバ」をなくすことができます。

制度運用に慣れてくると、メイン評価者がこの観点を自然と意識してヌケモレなく対応できるようになりますが、制度導入期はこうしたフローがあると会社としても安心できます。

もちろん上限到達率が100%だからといって、自動的に昇格できるわけではありません。あくまでも等級要件に照らして、昇格に相応しいかどうかを判断します。

給与レンジの上限付近で入社する場合は?

中途入社者について「3等級か?4等級か?」で迷う場合、3等級で入社してもらい、実力を確認した上で4等級に昇格させるパターンがあります。

この場合、上限到達率が100%近くで入社することも多くなりますので、入社タイミングと同時に「昇格候補者」に選出することや試用期間終了時の本等級決定で昇格させることが選択肢としてあります。

※試用期間に関する参考記事はこちら:試用期間は、どうやって運用する?

また「入社後、昇格するまでに1年ぐらいはかかりそう」と想定する場合、給与レンジの上限付近でオファーしてしまうと、入社後に昇給しない期間が1年ほど続く可能性があります。

上限付近でオファーすべきか、上限到達に少し余裕を持たせるべきか、を検討し、上限付近でオファーする場合は、入社前に昇給ルールを説明してサプライズが起きないよう認識を擦り合わせておくことも大切です。

制度として、必ず昇給すると約束しているわけではないので、昇給しないことが全くおかしい話ではありません。

ただし、昇給すると思っていたら昇給しなかった、というサプライズは、可能な限り避けるようにしたいです。

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