試用期間は、どうやって運用する?

試用期間の運用は、リズムが大切です。

「試用期間とは?」「解約権留保付労働契約って?」といった労務的な専門領域は、別に任せるとして、スタートアップにおける実務的な制度と運用について書きます。

本採用、入社時の等級と給与を見極める

試用期間を「3ヶ月」として考えます。

この3ヶ月で、本採用すべきか、入社時の等級と給与は妥当か、を見極めます。

本採用については、自分のざっくりとした経験上(感覚です)、スタートアップでは100人に1人ぐらいの確率で、本採用すべきでないケースに出会います。イレギュラーケースです。

もし、これが20人に1人の確率で出会うようであれば採用プロセスを見直しを検討します。採用の見極めに問題がある可能性があります。

等級や給与は、50名に1人ぐらいの確率、より保守的にオファーする場合は30名に1人ぐらいの確率で、見直しを検討したいケースが出てきます。

ざっくりとした感覚ですが、1-3%の可能性を見極めるのが試用期間の運用です。よって、制度を運用することが難しいし、そもそも制度設計したり、運用したりする気持ちになれません。

試用期間は、即戦力化を期待する仕組み

本採用だけ、もしくは本採用と入社時の等級と給与を見極めるのが試用期間と捉えると、費用対効果が悪い仕組みに感じます。1-3%のために労力をかけるわけなので。

しかし、試用期間には、別の狙いもあります。試用期間があること、それをきちんと運用して見極めを行っていることが、新入社員の即戦力化につながっているということです。

具体的には、入社から3ヶ月で以下を実施します。

【1ヶ月目】

  • オンボーディング
  • 1on1
  • 目標設定
  • 試用期間チェック(①本採用の見極め)

【2ヶ月目】

  • 試用期間チェック(②等級と給与の見極め)
  • 本採用拒否の場合のコミュニケーションと手続き

【3ヶ月目】

  • 試用期間チェック(③等級または給与を変更する場合、変更案を決定)
  • 本人への本採用・等級・給与の通知

この流れを体験すると、会社が新入社員をきちんと評価していることが被評価者(新入社員)にも評価者(マネージャー)にも伝わります。この温度感が大切です。

「試用期間チェック(①本採用の見極め)」は、簡易的な基準での運用で構いません。基本は皆さん「問題なし」なので。

例えば、以下のようなチェックリストを作ってマネージャーにチェックを依頼します。

・期待する能力やスキルを発揮している
・メンバーとのコミュニケーションに問題はない
・勤怠に問題はない
・ハラスメントに問題ない
・一緒に仕事をしている中で気になったことがあれば(フリーコメント)

「試用期間チェック(②等級と給与の見極め)」は、等級要件に照らして判断します。

「入社時の評価と給与決定はズレていない?」の観点で改めて判断します。若干の誤差は許容範囲です。

週次チェックでリズムをつくる

冒頭で「試用期間の運用は、リズムが大切」と書きました。

リズムをつくるために、週次ベースのHRMtgで試用期間の確認をおすすめしています。Mtgのはじめ2-3分で構いません。

  • この人たちが試用期間チェック中です
  • チェックリストお願いして、特に問題なかったです
  • この人たちに、本採用、等級・給与に変更なし、とお伝えください
  • 次週に向けて、この人たちがチェック対象になります

と、試用期間の対象者リストを見ながら人事から共有します。

慣れてきたら非同期のコミュニケーションで問題ないですが、試用期間の導入時はMtgでさらっと確認することをおすすめします。

細かい質問やアラートを挙げるほどでもないけど共有しておきたいことを、伝えやすい場を持っておくことにメリットがあると感じています。また1-3%の確率として、本採用の問題、等級変更、給与変更があった場合、タイムリーに共有できることもメリットです。

そもそも週次ベースのHRMtgってなにするの?という声もあるかと思いますので、それは別の記事で書きたいと思います。

Share this…