「昇格候補者制度」とは?
昇格者(等級が上がる人)について、6ヶ月前に候補者を選出し、昇格の条件や期待を擦り合わせた上で、昇格候補であることを、本人に”公式に”通知する制度。
公式に通知することで、期末に昇格の可否を説明する責任が生じる(昇格しない場合も、その理由を説明することになる)。
昇格候補者制度を導入しない場合、期初に評価者が集まって、昇格候補やその可能性について議論・意見交換することは推奨。
昇格候補者制度との違いは、本人に”公式に”通知するか否か。
(昇格候補者制度を導入せずとも、評価者の裁量で本人に昇格候補であることを伝えるケースはある)
目的
- 昇格候補者とその昇格の条件や期待について、漏れなく・遅滞なく考えてアウトプットできるようにする(仕組み化する)
- 昇格候補であることを伝え、本人のモチベーションを上げる
オプション
- 【A】昇格候補者制度を導入しない
- 【B】昇格候補者制度を導入する
- 【C】4等級以上の昇格に限り導入する
比較検討
判断基準 | 【A】昇格候補者制度を導入しない | 【B】昇格候補者制度を導入する | 【C】4等級以上の昇格に限り導入する |
---|---|---|---|
①昇格の見極めの精度向上 | 〇 | 〇 | 〇 |
②昇格への動機づけ | △ | 〇 | 〇 |
③昇格判定への納得感の醸成 | △ | 〇 | 〇 |
④会社・経営と評価者間のサプライズ防止 | △ | 〇 | 〇 |
⑤昇格運用の柔軟性 | 〇 | △ | △ |
⑥評価者の説明責任の負担 | 〇 | △ | △ (Bよりは負担減) |
⑦制度運用の負担 | 〇 | △ | △ (Bよりは負担減) |
コメント
運用負担を最小限に抑えたい場合、OptionA を推奨。
ただし、期初に昇格候補者について経営と評価者間で擦り合わせる機会は設け、昇格への動機づけや納得感の醸成、期末のサプライズ防止をできるように運用でカバーする。
実際、昇格候補者制度を導入する場合、2年程度運用するとOptionCに移行するケースが多い。
3等級までの昇格は現場のコミュニケーションに任せ、4等級以上は組織の仕組みで対応する。
会社によっては、4等級ではなく、5等級以上の昇格から昇格候補制度を導入し、昇格条件について経営陣を交えて議論することを必須とする場合もある。