スタートアップで組織設計を行う場合、マネジメントする対象に制限を設けないと、組織図が絵に描いた餅になるので注意が必要です。
自分の提案は、5名。
どうしても、、、という場合は「6名」まで許容しますが、1年後には5名にしてもらうようにコミュニケーションを図ります。
人数を無視して組織を設計しても、組織は動かない
1名のマネージャーが10名のマネージャーやメンバーを管掌している組織図があったとします。
この組織は、レポートラインが機能しているでしょうか。
マネージャーが超人であれば、見事に機能するかもしれませんが、おそらくスタートアップでは機能しないでしょう。
マネージャーがボトルネックになっていても、現場から声は簡単には上がってきません。
忙しい姿を見ていれば、遠慮がちになるのは人間の性質です。
そもそも、10名の相手をマネジメントするのは現実的ではありません。
少ない方が良いのはわかっている一方、リソースの関係で無理しているわけです。
100歩譲って、100名の組織までです。
それ以上の組織になったら、個人の頑張りで組織運営を進めていくのは無策に等しいもの。
足りなければ、採用(投資)する。
育成では時間が足りません。
まずは採用でリソースを確保していきましょう。
一人のマネージャーが管掌できる対象者は「5人」
5人の根拠は、ダンバー数です。
ロビン・ダンバーによるダンバーグラフ。
親しい関係を築けるのは5名で、5の3倍で層ができてくるのがダンバーグラフです。
【参考】
・なぜ私たちは友達をつくるのか
・「組織と人数」の絶対法則
この数字、組織設計に携わっている肌感的にも腹落ち感があります。
5人という数字と、150人という数字。
5人は親しい関係、150人は顔と名前が一致する関係です。
組織は、最大150名の単位で設計し、それを連携させることで拡張させていくのが良いと思います。
スパンオブコントロールの7人説
マネジメントの管掌範囲を「7人」とする定説が、スパンオブコントロールです。
ただ、この7名の背景が分かっていません。
スタートアップの環境、つまりリモートワークが主流であることを考えると、7名は「結構、厳しい」という声をよく聞きます。
オフィスで対面での仕事が前提であれば、1マネージャーが7名を見ることはできるかもしれません。
しかし、リモートワーク環境のもと、分業や専門性の進化も相まってこの「7人」という数字が、どうも度を越えているようにも感じます。
もちろん優秀なマネージャーと優秀なメンバーがかみ合えば、7名もたやすいのかもしれませんが、、、
人材育成やナレッジマネジメントも含めて、1マネージャーが組織づくりを推進する場合、5名を軸として、最大でも6名までと定義することを推奨します。
このルールのもとでは兼務は原則、NGです。
ただ、理想は描いても、そう簡単にそのルールに収まることも現実にはありません。
イレギュラーケースには対応していくことになりますが、ルールがないとイレギュラーケースがイレギュラーでなくなってしまい、無理ゲーの組織設計が猪突猛進することになっていきます。
気合いと根性だけでは突破できません。
気合いと根性、そして技術と環境が必要です。
組織図を描くと、「これも自分」「ここは兼務」「ここも頑張ってもらおう」という甘えのもと、非現実的な組織が出来上がってきます。
「無理かな~」と思っているものは、基本的に無理です。
そこで運に頼るよりも、まずは採用に動くことが改善の近道になります。