1年後の組織図を描く

組織設計の観点で、スタートアップの方々におすすめするのは1年後の組織図を描いてみること。

意識できていなかったことやうまいこと言語化できていなかったことが見つかります。

 

組織(ハコ)を描く

大事なことは、既存の「人」から思考し始めないこと。

今いる「人」を前提に考え始めると、今とあまり変わらず、延長線上の成長を目指した無難な組織設計になってしまいます。

そうではなく、1年後の事業目標から逆算して、組織を再構築し、まずはチーム(機能や事業)、ポジション、レポートライン、メンバーを図示します。

事業目標からの逆算で、組織がどのように変わるのか、もしくは変わらないのか、についてイメージを擦り合わせることができます。

 

組織に関して、そもそも何が論点なのかわからないケースもあると思います。

組織デザイン』と『組織設計概論』の2冊を読めばOKです。

(ティールとかホラクラシーは、読む必要はありません)

 

「当然あるべき」との前提で配置されている組織に対して、「なぜ?」「本当に必要?」「ここのレポートラインであるべき?」と振り返ってみることも効果的です。

 

CFO、本当に必要?

CHRO、この人の役割は何?

カスタマーサクセスは、このレポートラインが適切?

社外取締役・監査役、機能している?

 

言い方・使え方・言葉遣いには十分に気を付けましょう。

論理ではなく、感情の議論に入っていくため、ファシリテーターの差配がポイントになります。

利害を超えて、中立的に議論を取り仕切っていきましょう。

 

組織に人を配置する

シビアに配置します。

現在のパフォーマンスに少しでも物足りなさを感じている場合、その懸念を経営チームで共有しましょう。

「すぐに外す」という話ではなく、成長プランを考えたり、フィードバックの勘所を企画することに役立ちます。

 

ポジションが埋まらない場合、無理に既存メンバーで補填しないようにします。

よくある失敗は、淡い期待を描き、「成長枠」「チャレンジポジション」と自らの意思決定を正当化させるためのワーディングを開発し、安易な配置を行うことです。

ほぼ失敗します、この配置は。

組織設計にギャンブルは通用しません。

変数が多すぎるため、うまくいかないのです。

埋まらないポジションについては、期待するミッションを言語化して、採用計画に接続します。

1年後の組織に必要な人員について、採用に着手します。

 

組織づくりがうまくいっているケースでは、この埋まらないポジションが2‐3割ですが、うまくいっていないケースでは、7-8割に及びます。

もちろん、既存のメンバーで妥協すればポジションを埋まりますが、組織が大きくなっていく過程で綻びが生じます。

小さい組織規模であれば、マネージャー(ミドルマネジメント)の不足を経営チームで補うことはできますが、組織が拡張していくと経営チームの手が回らなくなります。

 

原因は「組織」ではなく「人」にある

組織崩壊なんて大袈裟な話でなくとも、組織がおかしいと感じるときが来ると思います。

そのとき、「組織」に目を向けても何も解決しません。

組織に課題を感じたら、人に目を向けましょう。

小さい組織だと、これができるのですが、組織が大きくなってくると人ではなく、組織にフォーカスが当たります。

組織構造を変えたり、権限を変えたり、ポジションを変えたり。

空振り、空振り、空振り、といった感じで三振してしまいます。

 

人に目を向けましょう。

能力、経験、姿勢、やる気は、期待水準を満たしているのか。

不思議なことに、すべてを満たしていない方が、組織責任者のポジションに配置されているケースがあります。

すぐに配置転換することは難しいかもしれませんが、成長(育成)に期待することはやめましょう。

経営の怠慢と見られます。

採用活動に走り、組織の一時的な立て直しにコミットします。

 

採用と立て直しには時間がかかります。

最低でも6ヶ月、無難に1年といったところです。

 

1年後の組織図を描くことをおすすめします。

 

Share this…