「給与は下がるけど、SOがある」「SOもあるし、給与も下がらない。または上がる」「SOもないし、給与も下がる。でもビジョンや仕事のやりがいはある」

スタートアップで人材採用を進める際、報酬に対してどういうスタンスを取るべきか。

昨今のトレンドと、気を付けたいポイントを私なりに考えました。

 

給与は下がるけど、SOがある

給与(現金)は下がるけど、SO(ストックオプション)があることで訴求する。

オーソドックスな考え方だと思います。

報酬に対する「夢」をつくります。

入社時期や実力・期待パフォーマンスによって、SOの水準は異なります。

コツコツと報酬を獲得するのではなく、ガツン・ドカンと獲得することを目指します。

 

SOもあるし、給与も下がらない。または上がる

昨今、上記のように「給与は下がるけど、SOがある」で採用がうまく進まないケースも増えてきました。

とにかく人が必要。

需要と供給の話です。

 

余談ですが、「人」について「需要と供給」の話を組み合わせると、アレルギーを起こす方がいるので注意が必要です。

 

人材採用が進まなければ、SOだけでなく、給与水準も上げないといけない。

会社を成長させることを優先して考えます。

もちろん採算が合うように事業を構築し、経営を組み立てないといけませんが、「まずは我慢してもらって…」をやめる、「スタートアップだから…」という正当化をやめるということです。

 

このスタンスを取る場合、期待に見合った貢献か、パフォーマンスを発揮できているか、を入社後にきちんと振り返る仕組みが必要です。

評価制度でなくても、期待の設定、振り返り、報酬変動ルールは擦り合わせておきたいところです。

いざとなったとき、降格・降給・アウトフローなど厳しい施策も取れる制度やカルチャーをつくっておかないと、本人だけでなく周辺からも不満が出てきます。

 

そして採用時に見極めも、変わらず慎重にやります。

報酬水準が高いかといって、自社で活躍できる人材か否かはわかりません。

能力、技術、姿勢、理念への当事者意識、人間性、価値観、自社や自分(経営)との相性まで、事細かく分析し、リファレンスも踏まえて直観を研ぎ澄ませましょう。

 

SOもないし、給与も下がる。でもビジョンや仕事のやりがいはある

私としては、スタートアップがさらに勢いをつくっていくには、「SOもないし、給与も下がる。でもビジョンや仕事のやりがいはある」というスタンスは、やめていくべきだと考えています。

常識を変えていく存在であるスタートアップで、困難なミッションを実現していくための対価は、ビジョンや仕事のやりがいだけでは足りません。

「それがあれば十分」というリテラシーの仲間で、常識を覆していくことが難しいだろうと思っています。

世の中、そんなに甘くないだろうと。

 

ビジョンが強すぎて、社会性が際立っていたり、個人的な趣味嗜好とビジネス領域がマッチしていると報酬に目をつむり、他の利点で自分を正当化してしまいます。

そのときはそれで満足するのですが、10年先まではもちません。

スタートアップの戦は長いので。

 

またスタートアップ側も報酬に魅力を持たせなくても採用が進んでしまうと、変に勘違いを起こしてしまします。

「報酬が低くても、理念があれば何とかなる」ではなく、「(自社の低い報酬水準に対して) 自社の報酬水準は低くない。このビジネス領域にしては、そこそこいい条件だ」と報酬水準を正当化してしまうのです。

いい筋にビジネス領域を発見し、小さなイノベーションでスタートアップを立ち上げたとしても、スケールアップしていきません。

頑張れば一定の成長はできますが、サステナブルにスケールアップしていくことはできません。

人材マネジメントに関して、変な癖がついてしまっているからです。

 

報酬に対しては、誠実に向き合いましょう。

自分の価値観で正当化してはいけません。

 

Share this…