降格・降給は、「カルチャー」である

先日の登壇時に、たくさんのご質問をいただきました。

その中に「降格・降給」に関するご質問がありました。

スタートアップにおける降格について言及したため、スポットが当たったのだと思います。

そのことをクライアントにお話した際、気づきがありました。

 

「本当に、降格・降給しているのか?」

質問を咀嚼すると、「本当に、降格・降給しているのか?」ということです。

「どうやって降格・降給させているのか?」というHowの質問もありましたが、そもそも現実的に降格・降給ってものが起きているのか、という問いです。

 

昇格・昇給があれば、降格・降給もあります。

2割、3割といった割合で起きることはありませんが、数パーセントの確率で起きる可能性があります。

入社時の期待値に及ばないケースもあれば、コンディションを理由にパフォーマンスが上がってこないケースもあります。

 

自社で降格や降給が制度上は存在しているものの、現実的に一度も運用されていることを見たことがない方も多くいると思います。

そもそも制度としてないかもしれません。

そのような方にとって、降格・降給は都市伝説のように感じるのかもしれません。

 

降格・降給は、マネージャーにとって(目先の)メリットはない

クライアントとこの話をした際、「降格・降給は、マネージャーにとって(目先の)メリットはないですからね~」と。

なるほど、まさに、と膝を打ちました。

制度設計する立場でありながら、その観点は弱かったかもしれません。

 

マネージャーにとって、降格・降給したところで当人のモチベーション管理は面倒だし、情報収集と言語化・フィードバックも大変だし、最悪揉める可能性もあります。

ルールとして決まっていても、それを実行することでマネージャー本人の評価が(短期的に)上がることはありません。

 

降格・降給する本人と接しているのはマネージャーであり、その他の方が降格・降給の是非を振り返ることも難しい中、マネージャーが降格の意思決定をする背景に何があるのか?と考えました。

 

・本人の長期的な成長のため。

・周囲の人事に対する納得感。 ※個人の等級が公開されている場合

・実績と報酬のミスマッチ解消による人件費の適正化

・適正な目標設定による成果の安定化

など、いくつか理由が思いつくものの、「本質的か?」と問われると、、、

 

「それがカルチャー」の方がしっくりくる

これこそ、カルチャーなんだな、と腹落ちしました。

経営陣から脈々と受け継がれた組織の掟を実践しているのです。

会社の方針・ルールとして、それが「正」であることを理解しているマネージャーが、自らの意思で判断し、実行している。

短期的なメリット・デメリットではなく、当然の文化として実践し、中長期的な成長に向かっている姿です。

 

と考えると、降格・降給が実践される会社で活躍するマネージャーには、このカルチャーマッチが求められるわけです。

もちろん、これ以外にも様々なカルチャーがある中ではありますが。

 

カルチャーって、どこかポジティブで、かっこいい表現にも見えますが、そんな甘いものではありません。

 

ちなみに、降格・降給の部分的なカルチャーが「是」であると考えているわけではありません。

これも1つのカルチャーなんだという自分の理解です。

 

降格・降給をやらないといけない、けれどもできない、と悩んでいる場合、制度と運用、さらにはカルチャーの側面からアプローチすることが必要です。

 

要するに、上(経営陣)を見て、現場が意思決定できるようにすること。

背中を見せて、個と組織を動かすことです。

 

経営陣が率先垂範・言行一致・有言実行で動かなければ、目指したいカルチャーは形成されません。

 

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