ドキュメンテーションを怠ってはいけない

人事制度の運用、例えば等級判定や人事評価は、実施月が決まっている定常的な人事イベントです。

繰り返しのオペレーションが求められる一方、改善の頻度が高く、想像以上に取扱いに手間取る仕事であります。

この状況で、人事制度を運用する担当者・事務局は、人事制度に関するドキュメント(ハンドブック・マニュアル・デザインドックなど)の更新を怠りがちに。

人事制度や運用プロセスが定着したときに、時間をかけてドキュメンテーション(文書化)しようという慣性が働きます。

 

しかし、安定化するまでに何度も更新がかかるため、最新版のドキュメントへの更新対応が遅れてしまいます。

一度遅れるとキャッチアップするのも大変なので、手間はかかりますが、ドキュメンテーションはまとめて実施しようとせず、変更があったらすぐに着手し、仕掛り案件をなくすことがポイントです。

 

ドキュメンテーションする際のコツは、人事制度の背景や改定の背景など「Why」に関する記述を忘れないことです。

人事制度には、絶対的な正解がないため、「これが正しいかどうかわからないけど、これが自社には良さそう」という「共感」が求められます。

その「共感」をつくり出すために必要なのが、「なぜ、こういう人事制度なのか?」、「なぜ、この運用スタイルなのか?」という「Why」に関する説明です。

 

続々とジョインする新入社員や新たに任命されるマネージャーに対して、人事制度に関する理解活動を実践しようとすると、情報量が膨大かつ複雑であり、組織と個人を現実的に言葉で動かさないといけない理由から、どうしても制度自体の説明に終始してしまう傾向があります。

しかし、組織と個人を動かすために必要な情報は、「共感」を生み出す「Why」であることを忘れてはいけません。

 

また、「Why」をドキュメンテーションすると、アウトプットされた一語一句を通じて客観視することができ、「Why」の合理性を検証することにも大いに役立ちます。

口頭ではなく、文字で確認することで、違和感に対して的確な気づきを与えてくれます。これもドキュメンテーションの効果です。こうした運用プロセスを整備するためにも、人事リソースの拡充は避けて通れません。

 

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