組織が300人になるまでに、人事制度の観点でやっておきたいこと

組織が100人になるまでに、人事制度の観点でやっておきたいことの続きです。

 

マネージャーは増え続け、部門への権限移譲が進み、会社のブランドができてくる

組織が100人になるまでにやっていきたいことの主な背景は、マネージャーの増加でした。

300人への組織でも同じようにマネージャーが増え続け、その対応が必要になります。

同時に、組織が階層化し、おそらく5階層程度になっています。

  1. 経営
  2. 本部長
  3. 部長
  4. 課長
  5. メンバー

この組織拡張のタイミングで、全社一律で組織を動かしていた方式から部門への権限移譲が進みます。

そして、100名から300名になっていく過程で、会社の認知度が上がります。

いわゆるブランドができてきて、今まで応募が来なかった層の採用活動も始まる時期です。

 

【やっておきたいこと①】人事制度の社内広報体制の整備

マネージャーが増え続ける中で、人事制度の理解にバラツキが生じます。

今まで問題なかったところで甘辛が起きたり、そもそも制度への理解が抜け落ちていたり、人事からすると「説明したのに、、、」という状況が発生します。

このとき、同じことをやっていてはいけません。

まずは人事制度に関する説明資料のサマライズ化。

とにかく内容をフォーカスして、絶対に外してはいけないところを強調します。

  • 等級要件に基づいて、等級判定や目標設定を実施する
  • 評価の結果だけでなく、理由を重点的にフィードバックする
  • 報酬改定の結果だけでなく、内訳まで説明する

運用面でフォーカスして伝えるべき内容例です。

他に、評価基準やスケジュール・オペレーションなど、実務に関わる点もお伝えします。

あとは、忘れてはいけないのが「背景情報」です。

つまり、「なぜ?」。

なぜ、等級要件に基づいて判定するのか?

なぜ、理由を伝えるのか?

なぜ、このスケジュールで制度を運用しているのか?

「なぜ?」を伝えようとすると、人事側でも見えていなかったことや理解が浅かったことに気づきます。

 

そして、フォーカスすべきことや「なぜ?」が整備できたら、理解活動へ進みます。

「一度説明したら終わり」ではなく、等級判定・人事評価・報酬改定の度にクイックな説明を実施します。

質問を受けつけて、改めて内容を精査することを繰り返すことで、人事制度の運用体制を強化していきます。

 

【やっておきたいこと②】報酬レンジのアップと報酬調整

組織拡張にブレーキをかけないように土台を整備する必要があります。

その一番手は報酬水準。

この時期に、自分たちの報酬水準が低い水準になっていないか?を確認します。

日々の採用活動から得られる情報だけでなく、外部報酬水準リサーチも実施し、市場感を把握します。

そして、同時に検討すべきは報酬調整です。

これまで応募がなかった優秀層がジョインするにあたり、報酬水準を下げたオファーはできなくなってきます。

そこで高めのオファーを出すことで問題が生じる可能性があります。

既存メンバーとの報酬ギャップです。

このギャップを過去に調整できていれば問題になりませんが、調整できていない場合はこのタイミングで実行です。

通常の評価昇給とは別に、特別昇給で対応します。

 

【やっておきたいこと③】アウトフロー制度の準備

人事制度として「降格」や「降給」に関するルールは設計しておくことを推奨しますが、実際に使う機会は稀です。

そもそも対象者がいないかもしれないし、いたとしても少数のため、経営のさじ加減で救済措置を取って何とか対応する場合もあるかもしれません。

しかし、このフェーズになるとそれができなくなります。

部門への権限移譲も進むので、ルールを明確にして運用しないと現場で混乱が起きてしまうからです。

あくまでもリスクヘッジとしての制度であるため、多くの方が対象になることはありません。

ただし、いざというときに使えるようにしておくことが人事の役割です。

外部の弁護士さんとも協力し、法的対応もできる体制と制度をつくっておくタイミングです。

会社によっても100名になるまでにやっておいた方がいいテーマになるかもしれませんが、自分の感覚では300名までのタイミングで問題ないと考えています。

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