できないことは「できない」と言わなければいけない

周囲や外部の方に仕事をお願いする立場だと「できない」と言ってくれることは、決してマイナスなことではない、と感じることがあります。

独立してやっている自分にも、改めて言い聞かせないといけないことだと。

「できない」と言わず、「できる」とも言えず、曖昧な受け答えをしながら「できないかもしれない」と返事をしてしまうことは、避けなければなりません。

 

なぜ「できない」と言わなければいけない?

その道にプロに仕事をお願いしている状況で、プロ本人が「できない可能性がある」「わからない」「不安かも」と思っていることは、得てして現実になります。

「何とかなるかも」と期待に胸を膨らませても無駄に終わります。

 

何よりも自信のない中途半端な仕上がりを見て、この先どうするのか、に迷う時間がもったいない。

スタート地点を間違えた試行錯誤の典型例です。

 

「やり直すのか」「このままで大丈夫なのか」を考える時間は、建設的ではありません。

「何とかなるだろう」という正当化に向けたバイアスにかかってしまい、中立的に判断することは容易ではありません。

 

他の領域で信頼を築きあげても、「できない」ことを曖昧なまま実行して失敗することで、その信頼は崩れていきます。

 

人は悪いところばかりに目がいってしまいので。

 

「できない」場合、どうすればいい?

「できない」場合、はっきりと「できません。期待に応えられず、すいません。」が誠実だと思います。

代替案があればベターですが、必須ではありません。

それは依頼主が考えることなので。

 

「できない」と言ってくれた方が、依頼主も助かります。

  • 他の人にお願いすればいい
  • スケジュールをずらせばいい
  • そのプランをやめればいい

こう考えることができます。

少なくとも自分の場合は。

 

人それぞれ強み弱み・得手不得手があります。

それをうまく組み合わせていくことを優先すべきです。

強み・得手と依頼がかみ合っていないのであれば、依頼主と受け手の双方に、前提となる専門性への理解が不足しているかもしれません。

 

自分の「できない」とは?

こう考えると、自分も「できない」と言い切ることができず、曖昧になってしまう領域があるなと。

すぐに思いつくのは、スタートアップの人事制度をやっていると話題に挙がる「労務」と「SO」。

 

「採用」は、自分でもできないと経験上はっきり言うことができるのですが。

 

「労務」と「SO」は、人事制度と絡む領域でありながら、その専門性が違う領域でもあります。

ただ、「人事労務」というワーディングにある通り、非常に近しく感じてしまうことも。

法律も関わる話で、「知りませんでした」が通用しない世界なので、表面的なアドバイザリーは避けたいところです。

 

自分の成長のために、深く学習したり追及したりすることをこの先も続きますが、それをクライアントへの提供価値としてしまうのは、相手にとって不誠実です。

 

現場での経験が成長に寄与することはもちろんです。

ただし、人事は後戻りが大変な領域ゆえ、慎重に価値を選び、提供していくことが誠実な姿勢だと強く感じました。

 

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