「人事制度事例から学ぶ、住友商事・日本電産」では、評価期間が1年と3ヶ月の両極的な事例でした。
成果評価や行動評価の中身が似ていたとしても、評価期間がこれだけ違うことで全く違った制度・運用になります。
中間評価や1on1等でのリアルタイムなフィードバック(FB)があったとしても、公式な評価は重みが違います。
今回は、評価期間のパターンとおすすめ案を紹介します。
パターンは3つ、3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月
目標と振り返りを会社の事業年度に合わせて実施するため、基本的にはパターンは3つ。
3ヶ月と短い場合、次の効果と副作用があります。
- 柔軟かつタイムリーに目標設定・評価・FBができる
- 期待値調整しやすい
- 中長期の目標設定がしにくい
- 運用コスト高め
12ヶ月にすれば、この逆の効果と副作用です。
おすすめは、6ヶ月+中間評価
自分がスタートアップの人事制度でおすすめするのは、6ヶ月。
そして、6ヶ月の中間地点である3ヶ月経過時に中間評価も合わせて、おすすめします。
オペレーション的には3ヶ月に1回の頻度で評価が進みますが、公式に残る最終評価は6ヶ月に1回の評価です。
スタートアップの環境変化・成長速度を考えると、柔軟かつタイムリーな目標設定や評価、FBが人材マネジメント上、重要と考えています。
しかし、3ヶ月ごとに公式な評価・FBを実施すると、目標設定が短期的もしくは作業的なタスクに陥ってしまうこと、評価者が疲れてしまうこと、が懸念されます。
そこで、評価期間は6ヶ月で目標設定が短期的になり過ぎないようにすると同時に、最終評価ではない中間評価を3ヶ月で実施し、タイムリーな振り返りも実施できるようにしました。
評価者の負担を考えると、3ヶ月で評価を決めてFBすることと6ヶ月の中間地点の振り返りをFBすることは、まったく異なります。
3ヵ月で評価を決める際、もし低評価であればそれ相応の負担ですが、中間評価であればアラートを伝えるだけでなく、残り3ヶ月で挽回するという前向きな話ができます。
中間評価そのものの負担はもちろんありますが、3ヶ月の効果を得ながら副作用をなるべく無くす制度として、おすすめしています。
役割に応じたカスタマイズ
評価期間6ヶ月+中間評価にした場合、3ヶ月で振り返る効果(タイムリーな評価や期待値調整など)は得られますが、中長期的な目標設定が難しいという課題が出るケースもあります。
課題を整理すると、多くのメンバーは「評価期間6ヶ月+中間評価」で問題ない一方で、経営に近いマネージャーほど短期と中長期のバランスを図りたい、という声が出てきます。
採用や育成、仕組みづくり、種まきなど時間のかかるミッションを担うマネージャーにとって3ヶ月のフィードバックや6ヶ月の公式な評価では、腰を据えて目標設定しにくいという問題が出たります。
この場合、役割に応じて評価期間をカスタマイズします。
例えば、経営に近いマネージャーは評価期間を12ヶ月として、6ヶ月で中間評価を実施する案です。
この場合、報酬改定もメンバーは6ヶ月ごとの評価で改定、マネージャーは12ヶ月ごとの評価で改定することになります。
マネージャーの報酬改定は年1回となるので、メンバーよりも昇給テーブルの金額 or 率を高め、1回の昇給幅(もしくは降給幅)を大きく設定し直します。