何となく感覚で作成されがちな組織図。
自社で組織図を初めて作成する際の「きほんのき」を考えました。
なお、初めての組織図なので機能別組織を前提に考えます。
組織図の目的
主に2つの目的があります。
① レポートラインを共有する
組織図を使って、レポートラインを共有します。
別の言い方をすると「責任者を共有する」です。自分(もしくは相手)の上長、さらに上長の上長を共有します。
レポートライン=人事権となります。評価や報酬決定の権限を担う上長が明示されます。
人事権をもつ直属の上長と「ダイレクトレポート(ソリッドレポート)ライン」で実線で繋がり、プロジェクトチーム等で関わる間接的な上長とは「ドッテッドレポートライン」という点線で繋がります。
「ドッテッドレポートライン」は、外資系の文化で日本の組織図ではほとんど見ません。
② 担当者を共有する
組織図を使って、担当者を共有します。
組織は、分業と調整で成り立ちます。分業された仕事が組織図上で明示され、その担当者が配置されます。その担当者に相談したり、何か仕事で関わることを聞きにいくことができるようになります。
これが調整です。担当者で判断できない場合は、責任者に情報が流れます。
このようにして、分業と調整が拡張していきます。
初めて組織図をつくろうとすると「兼務」の取り扱いに困ります。
人が足りないので、あれもこれも兼務している状態が、スタートアップです。
原則は、組織図を使って担当者が分かるようにすること。分業された仕事の相談先として、主務の担当者がおらず、兼務者だけの場合は「兼務」として組織図に記載します。
主務の担当者がいて、さらに兼務者がいる場合、兼務者は組織図に記載する必要はありません。
階層は低く
階層が高くなると、実行のスピードが落ちます。スタートアップはスピードが命。計画、意思決定、実行、振り返り、改善、軌道修正、すべてが競争です。競争に勝つには、スピードが肝です。
また、階層は伝言ゲームを引き起こします。
伝言ゲームにメリットは何もありません。情報が正しく伝わらない可能性があったり、意図的に情報が操作されたりします。それが組織です。
伝言ゲームをなくすには、階層を無駄につくらないこと。複雑な理由をつくる必要はありません。
不要な階層は、悪です。
もちろん事業や戦略によって組織は変わりますが、組織は5階層でやりくりすることをおすすめします。
- 経営チーム
- 部長
- 次長
- 課長
- メンバー
部長や次長といった呼称は、例えです。マネージャー、シニアマネージャー、サブマネージャー、チームリーダーでも構いません。
部門の責任者(部長)、チームの責任者(課長)、部門とチームの間に落ちるボールの調整役(次長)で、組織をやりくりするイメージです。
5階層でやりくりできるように、仕事を標準化・仕組み化・自動化しましょう。
1年後の組織図を考える
スタートアップの組織拡張のタイミングにおいて、1年後の組織図を考え、アウトプットすることは是非おすすめしたいです。
組織がどう変わるのか、どこが採用で困りそうか、マネージャーが足りない部分がどこか、今からやっておいた方がよいことは何か、何が機能(ファンクション)として足りないか、などなど。
1年後を考えることで、今の組織図を再考するキッカケになるかもしれません。
普段の業務の延長ではないので、少し頭を切り替える必要はありそうです。オフサイトなど、いつもと違う環境で、余裕をもって考える時間を持てると良さそうです。