等級定義とは、究極的には報酬を決定するための基準です。
等級要件と呼ばれるケースもあります。
期待の言語化
会社がメンバーに期待することを言語化し、その期待に応えられる人材にそれ相応の報酬を支払います。
この言語化された期待が、等級定義です。
会社が期待すること(等級定義)の難易度や影響度が上がるにつれて、報酬水準も上がります。
様々な仕事を担うメンバーに対して、期待を言語化するため、全メンバーに適用する等級定義は、抽象的な表現になります。
概要と詳細
等級定義は、まず概要をつくります。
例えば「指示・指導を受けながら、任された仕事を最後までやり切る」という概要の等級定義。
自律的に期待される成果を出すレベルには達していないものの、サポートを受けながら任された仕事には責任を持てる人が、この等級の人材イメージです。
概要の次に詳細をつくります。
抽象的な基準のため、捉え方にズレが生じないようにするためです。
詳細をつくる際、会社が期待することをカテゴリ化して「軸」として整理できると、つくりやすさと分かりやすさが向上します。
「軸」の例は、以下です。
・能力/スタンス
・バリュー体現
・リーダーシップ
・成果
・貢献
・マネジメントスキル
・専門性
上記の「指示・指導を受けながら、任された仕事を最後までやり切る」の詳細としては、例えば
- 自らアドバイスを求めたり、迅速にアラートを伝えることができる (能力/スタンス)
- 自分に足りていないスキルを把握して、自ら学習できる (能力/スタンス)
- 周囲のフィードバックを受けながら、Valueを体現しようとしている (バリュー体現)
があります。
サポートを受けながら仕事を進めるレベルのため、等級定義の詳細としてリーダーシップや成果、マネジメントスキル等は設定しないことも可能です。
より上位の等級要件の詳細例も、いくつか参考までに。
- 自ら課題を発見し、方針を理解した上で主体的に業務を推進できる (能力/スタンス)
- 主体的にValueを体現し、周囲にとって見習ってほしい模範・手本となっている (バリュー体現)
- 他チームと全社最適の視点で連携できる(リーダーシップ)
- 難易度の高い仕事や目標であっても、期待される成果を、自律的に残すことができる ※難易度が高いとは「不確実性が高い・非常に複雑・ボリュームが多い・納期が短い、等」を意味する (成果)
- 自分の専門領域だけでなく、採用から開発、営業、管理等、経営全般に対する主体的な発言や行動を通じて貢献できる (貢献)
- チームの目標(約1-12ヶ月)を設定し、メンバーに理解・納得させられる (マネジメントスキル)
- 専門領域における「あるべき姿」を定義することができ、その状態への実現をリードできる (専門性)
評価の基準は「再現性」
等級定義を満たしている・満たしていない、を評価(判断)するための基準は、再現性の考え方を使います。
例えば「自ら課題を発見し、方針を理解した上で主体的に業務を推進できる」という等級定義(詳細)を満たしていると評価する場合、再現性があると判断します。
再現性とは、前提条件が大きく変わらない限りは繰り返し実現できること、です。イレギュラーなケースはしょうがいないとしても、安定的にできること、敢えて数字で言えば「8割(10回のうち8回)はできる」と言い換えることもできそうです。
この再現性のジャッジは、評価者の主要な役目となります。