いいスタートを切るための目標設定

目標設定の仕組みを評価制度の中に組み込んでいるケースが多いと思います。期初に目標設定、期中の1on1と中間評価で進捗を確認、期末に振り返り(評価)といった流れです。

期初の目標設定がうまくいかず、納得感のない目標になってしまうと、全力を出し切ることができなかったり、期末の振り返りでサプライズが起きたりします。

こうした事態を避けるために、目標設定というスタートラインに自ら立てるような仕組みをつくります。

自分自身で目標設定する

誰しも言われたことをやるよりも、自分で決めたことをやる方が全力を出し切れます。

自分で決めたと感じられるように目標設定のフローを設計しています。

① 全社目標・チーム目標の共有

キックオフで組織の目標と方針を共有することで「自分が会社にどう貢献するのか?」を理解します。自分(個人)の目標は、必ず組織の目標に繋がっています。

この時点で会社全体の目標と全チームの目標が出揃い、組織をリードするマネージャーも目標設定が完了している状態を目指します。

② 1on1 (自分×マネージャー)

まず改めて全社やチームの目標を説明します。「もしかしたら分かっていないかも」や「あれってどういうこと?」など、自分以外のメンバーがいる場で聞きにくいことがあれば、その疑問を解消します。

次に、マネージャーと目標について話し合います。決めるのではなく、方向性を話し合う場として1on1を活用します。

チームとして決まった数字があるかもしれませんが、数字を落とすのではなく、まずは背景についてお互いの理解を深めましょう。組織の考え、マネージャーの考え、自分(被評価者)の考えを擦り合わせ、目標を方向付けていきます。

③ 目標設定

自分自身で目標設定します。

マネージャーとの1on1で話し合った内容を踏まえて、自分自身の言葉で評価シートに目標を落とし込みます。目標の背景を自分自身で説明できるようにしましょう。

④ 1on1 (自分×マネージャー)

マネージャーとの2回目の1on1です。

マネージャーは、目標の説明を受けてその場でレビューします。気になる点は質問しながら、微修正を加え、目標の細部を詰めていきます。そして、期初時点の目標として承認します。

目標の方向性がマネージャーの認識とズレている場合は、改めて背景を説明して、再度目標設定を依頼します。目標設定に関する1on1も別途セッティングします。

⑤ 1on1 (マネージャー×マネージャーの上長)

マネージャーは、上長との1on1でメンバーの目標を共有します。上長からフィードバックがあれば、マネージャーと被評価者の1on1を通じて説明します。

目標設定レビューの着眼点

マネージャーがメンバーの目標をレビューする際、着眼点を言語化できると組織としての目標設定の品質が向上します。

3つの着眼点を紹介します。

(1) コントロール可能性

  • 本人の努力次第で、目標は実現できる?(そもそも本人がどんなに努力しても達成できない目標になっていない?)
  • 目標を実現するための裁量を、本人はもっている?

(2) 評価可能性

  • 評価期間内に最終結果は出る?(そもそも評価できる?)
  • どういう状態になったり、どういう成果が出たら、目標達成したと言える?

(3) 成果志向

  • この目標は、本人に期待する最終成果になってる? (中間成果になってない?)
  • 目標達成したら、組織の目標達成に貢献する?

3つの着眼点でレビューして、気になる点は、本人に問いかけます。

新任マネージャーへのフォロー

新任のマネージャーがいる場合、目標設定に不安を抱えています。どうやって目標設定やるのか、この目標は正しく設定できていると言えるか、など。

マネージャーの上長だけでなく、新任のケースのみ、人事がフォローすることをおすすめします。

具体的には、新任マネージャーが配下のメンバーに行った目標設定を人事がレビューすることです。客観的な立場で、上記の着眼点に基づきレビューします。

当事者以外が見ることで、意外な落とし穴に気付けることも珍しくありません。当然と思っていたことも、客観的に見ると説明不足であったり、前提が抜けていたり、と。

人事レビューがあるだけで、新任マネージャーの不安も少しは解消できます。すべてのマネージャーに対して目標設定レビューすることは大変ですが、新任マネージャーに限定すると比較的、費用対効果の高い施策になると思います。

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