人事制度は、正解のない議題となります。
議論に集中してしまうと、意思決定ができなかったり、お互いを削り合う不毛地帯になります。
うまく意思決定に運ぶためのポイントを、3つ考えました。
選択肢を用意する
「これがいい」「これが推奨案です」と1案だけで出してはいけません。
3案を出すことを心がけています。
例えば、等級制度を検討する際、デフォルトの8等級の案(案A)以外に、一番上位の8等級は対象者がいないので削除する案(案B)、3等級と4等級の間にもう1等級を追加した案(案C)を提案するイメージです。
1案だけだと、意思決定者は「これだけで大丈夫?」「他は?」「抜け漏れがあるのでは?」と不安になります。
最終的に自分の推奨する1案に着地したとしても、他の案を見せて議論することが必要だと思います。
不安を払拭するために捨てられる案を提案します。
3案を考えることが重要であり、また3案に絞ることも大切です。
自分の推奨案と相手にニーズをくみ取った案を提案する
自分のポジションを取ることは大事であり、マストです。
その案が採用されるかどうかではなく、自分のポジションを示すことで、「なぜ?」がより鋭くなり、議論の深堀りに貢献できるようになると思うからです。
もちろん、その案が相手のニーズと合致している場合、推奨案の提示は比較的、楽です。
ただし、相手のニーズと合致していないケースもあります。
その場合、推奨案とは別に相手のニーズに合わせた案もお伝えしています。
「自分の推奨案はAですが、これまでの議論や皆さんのニーズを踏まえるとB案も有りですね」とフラットに2案を伝えると、相手は推奨案を断ることにパワーを割かずに意思決定できるため、議論に集中しやすくなるように感じます。
意思決定者に決めてもらう
意思決定者が誰であるかを明確にして、その方に決めてもらいます。
リーダーシップの違いが出るところなので、「決めてくれるだろう」と期待していると、フワフワと議論だけで終了してしまうことも。
特に、意思決定の結果、誰かの意見や判断を却下する形になることで相手から嫌われたくないと考えているほど、意思決定が進まないように見えます。
「意思決定者を決定する」という仕事の仕方が確立していないと、反対意見を述べる方が好き勝手騒いで、議場を荒らして終わることも珍しくありません。
この荒らしを行っている本人は、知的好奇心という正義を振りかざすことで傲慢さを正当化してしまうこともあります。
批判ではなく、批難しているように、受け手は感じています。
頭がいい、と言われる人に起きがちで、俗に言う「嫌なヤツ」です。
そういうときは、周囲が議論の後にコーチングとフィードバックを通じて、「それは求めていない」と諫めることも必要だと思います。
なぜなら、本人はまったく気づいていないから。
伝えてもすぐに理解はできないので、時間をかけて繰り返し伝えることも必要です。
が、かなり面倒くさいのも事実。
なので、そういう人とは付き合わないというのも良い手だと思います。
無駄なことをたくさんやってこそ、学びになるという考え方もありますが、必要な無駄と不必要な無駄もあるはず。
「これ違うな」という無駄には、素直にNoと言いたいところです。
もちろん、気は進みませんが。