組織階層を増やすことの副作用とは?

「階層」を増やすことで役割分担が進み、責任と権限を委譲できます。

より専門特化した領域を、専門性の高い人材に任せ、上位者は別の役割に集中できるようになります。

 

ただし、階層を増やすことには副作用を伴います。

当たり前のことですが、敢えて言語化してみます。

 

現場が遠くなる

階層が増えることで、上位者と現場の距離は長くなります。

現場が遠くなることで、「現場で何が起きているか」が、より見えなくなります。

現場から上がってくる情報がすべてになりますが、現場が遠い分、情報の伝達に時間がかかるようになります。

(だから、現場に行け!現場を見ろ!と言うのかもしれません)

 

逆に、上位者から現場へ情報を伝達するときも時間がかかるようになります。

日々の積み重ねが、意思決定スピードの遅さにつながります。

 

実行するまでに、もろもろの調整を含めると1週間かかってしまう。

階層がなければ、1時間で開始できるかもしれません。

 

スタートアップが大企業に唯一勝てるのは、このスピードです。

マインドとか、そういった精神論ではありません。

同じ価値であっても、速さが加わることで出し抜くことができるのです。

 

情報が正確に伝わらない可能性が高まる

階層が増えると、介在する人・組織が多くなります。

その人・組織の能力レベルやモチベーション、さまざまな状況で、情報が正確に伝わらなくなってしまう可能性があります。

自分の意見を通そうと前提となる情報や条件を変えてしまうケースも、組織では日常と考えておくのが無難です。

 

上位者が伝えていることが現場まで正確に届いているか。

その逆も然り。

階層が増えれば増えるほど、リスクが高まります。

 

手垢にまみれた表現を使えば、伝言ゲームが活発化します。

 

組織の規模が大きくなったとき、正しい意思決定に必要なのは、正確な情報です。

信頼に足る情報が、瞬時に出てくる環境構築が大事です。

 

上位者(役職者)の権力が高まる

役割を分担する場合の手段の1つが、階層を増やすことです。

もう1つあります。

分業することです。

別の部署を設置し、その部署に役割を渡します。

この場合、他部署との調整業務は増えますが、階層は増やさずに済みます。

 

組織設計は、常に縦(階層)と横(分業)で考えます。

 

階層を増やすと、決定権限は上位者が持つゆえ、みんなが上(上位者)を気にしながら仕事を進めるようになります。

上位者は評価者でもあるため、気になることがあっても本音でコミュニケーションしにくい場合があります。

上位者が常に気にかけ、そういった意見やネガティブフィードバックすら受け入れることを周知していなければ、フラットなコミュニケーションは難しいものです。

 

この関係性の中でコミュニケーションが進み、情報流通が行われると、先述した通り、正確な情報やフィードバックが交換されないため、正しい意思決定ができなくなる可能性があります。

 

心理的安全性。。。

どの組織にでも担保できるものとは考えなくてもいいのでは、と思います。

トップエリートが集まっているからこそ、心理的に安全なんだと思います。

 

話は逸れましたが、階層を増やすとそれなりの副作用を覚悟した方が無難かもしれません。

 

ポジションができることを喜ばしく思うことは自由ですが、この考えは組織を優しく見ているようにも感じます。

もう少し、ストリートの立場で組織を見ると、どうしてもエグみを感じざるをえません。

 

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