『悩まない人の考え方』の中で、「責任を取る」の定義がわかりやすく、腹落ちできたため、メモします。
普段使いしているけど、よく考えるとわりに理解しにくい言葉を、こうやってわかりやすく定義できることは経営者にとって重要な能力なんだと実感しました。
「責任を取る」とは、罰則を受けることではない
何となく、責任を取る、というと罰則を受けるイメージがあります。
問題が起きてしまった後、その責任を取って罰則を取ることであたかも問題解決したように装う空気です。
減給、降格、退職、など自ら罰則を受けて問題を終わらせようとする意味合いですが、罰則を受けても問題は解決されていません。
過去に一度だけ自分も経験したことがありますが、始末書を書くという行為。
「罰則」と受け捉えると、責任を取るという意味を歪めて理解してしまう可能性があるため、注意が必要かもしれません。
「原因」と「責任」をわけて考える
理解しているつもりでも、シンプルに言語化できていないことがあります。
「原因」と「責任」をわけて考えるということも、その1つでした。
Aさんがミスをしたら、原因はAさんにあるわけですが、上長であるマネージャーがその責任を取る。
これが正しい組織の姿です。
Aさんに原因と責任を押し付けると、なかなか問題は解決しません。
マネージャーが責任を取って、問題解決をリードしたり、再発防止に努めたりします。
「責任を取る」とは「問題を解決する」こと
つまり、「責任を取る」とは「問題を解決する」ことです。
問題が起きた際、原因は本人にあるにせよ、解決できていない問題をマネージャーが一緒になって解決することが、責任を取るという意味です。
よって、マネージャーはそのチームで起き得る問題をすべて解決できる人材でないといけません。
もちろんマネージャーも試行錯誤しながら、問題解決していくと思いますが、最終的に問題解決できる人材が適切です。
組織が階層化すると、下位階層のマネージャーが解決できない問題を上位階層のマネージャーが解決することが求められるようになります。
マトリョーシカのように問題は大きくなっていき、最終的に行き着く先は経営者が問題解決する、となります。
その組織では誰も解決できない問題があったら、経営者が対処していくということです。
これが「責任を取る」です。
なぜ、無能なマネージャーをスタートアップは採用してしまうのか?
ここからは自分の思考実験ですが、メンバーが起こした問題を敢えてメンバーに解決させようと、マネージャーがチャレンジすることがマネージャー育成になるのかもしれません。
本来であれば、マネージャーが解決する問題ですが、マネージャーの視点視座で考えさせて、多少の伴走を伴いながら、解決に導いていきます。
余白のある組織だと、この育成チャレンジを大胆に実行できます。
もしかすると、そこで大きな失敗を経験するかもしれません。
しかし、メンバーにとってもマネージャーにとっても、その失敗経験からの学びは大きいはず。
同じ失敗を繰り返さないように何をすればいいのか、が明確にわかるようになります。
一方、マネージャーが責任を取って問題解決し過ぎると、それを見て「学べるメンバー」は責任の取り方(問題解決の手法)を自ら学んでいくことになりますが、「学べないメンバー」はほっと一安心するだけで成長することがないことも懸念されます。
この状態で、年功序列もしくはプロモーションミスでマネージャーに配置されると、そもそも問題解決能力が低いため、マネージャーポジションにいながらチームの問題を解決することができない可能性があります。
特にコミュニケーション能力が高く、この能力だけでマネージャーになってしまう方は、この状態に陥りがちです。
「悪い人ではないんだけど、マネージャーとして全然機能していない」という方です。
心地よいコミュニケーションを通じて、相手との関係性をポジティブに構築できる一方、問題が起きたときに具体的な解決策や方針を示すことができません。
なぜ、こういうマネージャーが生まれるのか。
「部下が優秀だから」、「他部署の優秀なマネージャーを見ているから」だと思います。
(「マネージャーの見極めができていないから」は当然のことなので外しました)
優秀な人材を採用できている会社では、マネージャーに問題解決能力がなくても、メンバーがストレッチした環境として問題解決に打ち込みます。
このメンバーは、メンバーポジションでありながら本来はマネージャーが対処すべき問題を解決できるまでに成長していきます。
また、このメンバーは他部署にいる優秀なマネージャーがどうやって組織をマネジメントしているのか、を観察していると思います。
もしくは、前の職場でお世話になったマネージャーの仕事の仕方を学び、それをメンバーポジションで早速実践しているのかもしれません。
もちろん、自分で本を読んで学習したり、研修で訓練している部分もあると思います。
このように考えると、優秀でないマネージャーと優秀なメンバーの関係性は、比較的組織規模が大きくないと生まれないのでは、という仮説ができます。
部下の力でマネジメントポジションを維持できているのが真実である一方、そこそこの会社でマネジメントポジションを歴任しているという実績。
この看板にスタートアップの経営者や採用担当は注意しなければなりません。
大企業でマネージャーをやっていたという方こそ、その実力・経験値が妥当かどうかを評価することが大切です。
コミュニケーション能力がやけに高い場合、そのノリや勢いに妙に好感を持ってしまうケースがあります。
さらにそれなりの看板がついていると、自分たちを大いに正当化させる理由にもなります。
その辺をマイナスに見る必要はありませんが、専門領域の知識や技術、そして論理的思考力や決断力、先読み力といった問題解決能力が備わっているか、しっかりと見ることが大切です。
「そんなの当然じゃん」と思う方もたくさんいると思うのですが、、、
悩みは尽きません。