「給与(年収)が低い」といった声を聞きますか。
マネージャーであれば部下からそんな声を聞くかもしれませんし、経営陣がマネージャーから聞くかもしれません。
絶対的な水準として低い場合、例えば営業部長として大黒柱の活躍をしているけど年収500万とかは職責と年収にギャップが生じており、その不満も仕方なしです。
ただ、自分が支援しているスタートアップの報酬水準を見るとそこまで不当に低いケースはないと思います。
様々な会社における報酬制度の運用を経て、設計している水準であり、昨今の採用競争に耐えうるにはそこそこの水準になっているかと。
しかし、給与に対する不満が出るケースがあります。
事象を掘り下げてみると、その不満が見えてきました。
(あの人と比べて自分の)給与は低い
「給与が低い」といった場合、何に比べて低いと言っているのでしょうか。
比較対象は「同僚」です。
飲み会の席でお金の話で盛り上がり、個人の給与情報が話されていることがあるそうです。
(自分はその場にいたので真実かどうかはわかりませんし、自分はそういった話をすることはありません)
そこでサプライズが起きます。
「あの人、そんなにもらってるの」「え、そんなに高いの」と。
これが引き金となり、(あの人と比べて自分の)給与は低いのでは?と不安になります。
その方の給与と実績にミスマッチが生じているかもしれませんし、単なる勘違い(周囲からその方の実績を正しく見ることができていない)かもしれません。
しかし、お金がテーマになると現実を冷静に見ることができなくなってしまい、一人で不満を倍増させていく負のスパイラルに陥ります。
(他社と比べて自分の)給与は低い
比較対象が、自社ではなく、他社である場合もあります。
他社の方から話を聞く、転職活動で外部の報酬水準を知る、前職での給与と比較する、など他社と比較するケースはいくつかあります。
他社と比較する場合、前提条件である規模や業績、経営の安定度合いを揃えないと正しい比較にはならないのですが、これも論理よりも感情で扱われる「お金」が相手になると、どうも盲目的になってしまうようです。
ただ、これだけ情報が簡単に獲得できる時代ですので、他社比較はされる前提で報酬設計はしなければなりません。
絶対に転職されたは困る方が社内にはいるはずです。
その方々が給与を理由に転職してしまったら、報酬設計としては失敗です。
そうでない方は仕方なしと割り切ることも有りです。
そういう意味では、きちんとを差をつけることが大事になってきます。
人事制度に問題がある場合
実績を多く残したにも関わらず、報酬への反映度合いが小さい場合にも不満が起きます。
実績を多く残した自分とあまり実績を残していない同僚を比較した際に、納得できる給与の差がついていない、という不満です。
これも同僚の観点はありますが、どちらかと言うと人事制度に対する納得感の欠如になります。
実績を残しているのでその分をもっと還元してほしい、報酬に反映してほしい、という思いです。
例えば、昇給率やインセンティブの係数にあまり差がないケースが該当します。
報酬は衛生要因なので、差を大きくすると不満の声はなくなってくるものの、満足の声にはつながりません。
人間は、その水準に慣れてくると一定期間(3年ぐらい)が経つと、同じような不満が出てきます。
いたちごっこですね。