評価結果を最終決定する際、多くのケースで評価会議(または評価調整会議)を設置しています。
この評価会議で、個人別の評価結果を横ぐしで確認し、不明点や違和感があれば評価者に説明を求め、意思決定していきます。
ときどき、評価会議のテーマの中心が「評価調整」ではなく、「人材育成」になっている場合があります。
正解のない領域ゆえ、間違っているとは意見しませんが、参加される方々の認識を揃えないと時間のわりに実のある議論にならないため、方針を定めることが大事だと考えています。
自分の考えをまとめておきます。
評価会議は過去の視点
評価会議では、過去6ヶ月(や1年)の評価期間における実績に対して「評価」する行為です。
よって、過去6ヶ月で実現できたことには〇、できなかったことには△といったように、過去の事実に照らして判断します。
たとえ、まぐれで達成したことであっても実現できたことに対しては、基準に則り、評価することが筋です。
「Aさんのこの成果は、Bさんのサポートがあって実現したから、これは評価しない」という話ではありません。
実現したか、実現しなかったのか、という結果を見るわけです。(そもそもの評価制度の思想によって多少変わる可能性はありますが)
このとき、注意したいのは、この先の期待値を反映して評価を調整しないようにすること。
過去の実績に関係なく、未来を想像し、期待をもって評価を歪めると評価制度が形骸化してきます。
人材開発会議は未来の視点
一方、個人のキャリアや育成、配置といった人材育成について議論を深める場は、人材開発会議です。
人材育成会議、タレント会議、タレントレビューと呼称する場合もあります。
この人材開発会議は、「過去にこんなことをやった」という議論ではなく、「この先、こういうチャレンジをさせたい」「将来、こういうポジションを担ってほしい」「2年先の配置のために、今こういうことをやってもらっている」といったように未来視点の議論になります。
発散がメインです。
未来のことなど何もわかりませんし、当たりませんので。
もちろん過去の事実となる評価や貢献、活躍度合いから未来の話に接続していきますが、事実・現実だけを話す場ではなく、想像を膨らませる場であります。
こうしたい、こうなってほしい、こうなると面白そう、と可能性を拡げることが大切です。
会議にのぞむにあたって、こういった前提条件を擦り合わせ、参加者の「思考のキャップ」を取り外すことが議論の質を向上させます。
単にヒトについて情報共有しましょう、育成の計画について説明してください、では盛り上がりません。
評価会議が先、人材開発会議が後
自分の経験上、まず人事制度の導入に伴い、評価会議の運用がスタートします。
組織規模は50名以下であり、評価の話をしながら、多少未来の話についても脱線したりします。
想像以上の活躍が認められるメンバーについて、近い将来、マネージャーをやってもらいたい、といった声が評価者から上がってきたりします。
組織が100人を超えてくると、全社単位で行っていた評価会議が部門単位に分割されていきます。
評価者の数も増え、議論の品質にばらつきが生じ始めると、評価の議論と育成の議論がごちゃまぜになることがあります。
結果、参加者の方々にも迷いが生じたり、所要時間が長くなっていったり、と非効率を感じるようになります。
200名規模に達するタイミングでは、小規模な「人材開発会議」をトライアル的に運用し、評価会議とわけるとよいかもしれません。
評価会議との違いを説明し、ヒトや組織の未来について発散する場です。
正解はないので、可能性が拡げるように議論していきましょう。
その議論をリードできる問いや事実を準備するのは、人事部の役割です。