「よく10年もやってこられましたね」と、言われることがあります。
敢えてポイントを1つに絞ると、既存クライアントのリピートを中心にやってきたから、と思います。
前職のときから、とにかく「リピート」が求められ、コンサルタントの評価基準になっていました。
制度設計または制度改定をして終わり、ではなく、そこからテーマを広げていくことが求められていたということです。
前職では大企業がクライアントだったため、次のテーマを今のプロジェクトから仕込み、契約が終了するタイミングで信頼を得ていないとリピートは獲得できません。
自分のような営業下手な人間にとっては、とにかく難しかった。
でも、最善を尽くすことで評価してくださる方からリピートを受けることができ、その意味合いが分かってきた部分はありました。
独立後のベンチャー・スタートアップでも基本は同じです。
6ヶ月や1年といった制度設計のプロジェクトの中で信頼を得ることが次につながります。
そもそもベンチャー・スタートアップでは、HR領域の人は常に不足しており、ヘッドカウントを揃えるだけでも大変な状況です。
そこにクライアントの文化や姿勢を理解・共感し、きちんと価値提供できるようになれば、リピートをいただくことができるようになります。
またテクニカルな話だと、ベンチャー・スタートアップは導入した人事制度を運用するリソースやノウハウがありません。
人事制度は単に「回す」といった運用ではなく、組織の規模やマネージャー(評価者)のレベル、事業構造によって制度や運用のチューニングが常に必要であり、これをうまくやらないと制度が形骸化してしまうのです。
大企業では、運用業務のリソースもノウハウも蓄積されていますが、ベンチャー・スタートアップではそれが無いため、自分が貢献できると思って地道な作業をこれまでやってきました。
正直、ここを面倒だと思ってやらなかったら、今頃独立が続いていなかったかもしれませんし、独立を継続できていたとしても経営に安定さはなかったはずです。
自分で運用業務を巻き取ってやってみるとよくわかるのですが、簡単な作業ではありませんし、そこそこ頭を使います。
個人用の評価シートを一人1枚ずつコピーして権限設定して、を繰り返す中で、自動化できるシステムを外部のエンジニアの方につくっていただいたり、常に効率化とミスゼロを目指して進めてきました。
前職時代であれば、こういった運用業務を請け負うことはできなかったと思います。
この仕事がいいか悪いかは別として、自分が生き抜いていくためには必要だったという意味です。
ただ、自分たちが運用をずっとこの先やっていくことも現実的ではないので、引継ぎをスムーズにできるようにこの点もノウハウを貯めてきました。
同じことを何度も繰り返すと、その前には見えていなかった課題が見つかり、1つ1つ改善していくことで品質が磨かれていくことがわかります。
もう一度、この経験をしたいか、と言われれば、もちろんNoです。
ただ、こうしてうまく説明できないノウハウがあるからこそ、それがクライアントに信頼につながってきたんだろうと思います。