合意だと進まない
人事制度設計を「合意」する前提で進めると、あれやこれや意見が出てきて前に進みません。
制度設計のプロジェクトをスタートさせたものの、意思決定プロセスについて事前に合意なく進めると常に「これでいいか?」「ここは大丈夫か?」というやり取りが続きます。
評価や報酬のルールづくりに対して責任を取ることは怖いし、できれば避けたいところ。
当事者意識を持ったオーナーがいれば、自然と意思決定が行われますが、いなければ自然と合意形成の流れになってしまいます。
結果、決まらない、進まない、中途半端な制度になっていきます。
意思決定者を決める
誰がプロジェクトに関わるのか、を決めて終わるパターンが多いです。
誰が意思決定者なのか、まで決めましょう。
もちろん参加者の様々な意見や提案、批判は歓迎です。
しかし、決める人が最後は決める。
この意思決定プロセスを、まずは合意しましょう。
決して「部長会で決める」「役員会で決める」と会議体(意思決定機関)を意思決定者にしてはいけません。
会議・機関に、意思はありません。
決めるのは人です。
特にスタートアップでは、(本当の意味での)人事責任者がいないことが多いので、意思決定者が曖昧になりがちです。
人事責任者がいなければ、CEOやCOO、CFOといった経営陣の一人がオーナーとなって意思決定していくことが大事です。
合議形式は取ったとしても、最後は「誰」かが決めなければなりません。
意思決定者の質が、制度の質になる
人事制度は複雑性が高いため、改善を繰り返して品質を高めていく必要があります。
改善するためには、現場の声を真摯に受け取り、経営視点で問いを立て、問題解決していかなければなりません。
現場の声を聞くことは大事でも、すべてを受け入れることはできないため、ポリシーを持って臨むことが求められます。
人事は「公平性」を意識し過ぎる傾向がありますが、意識すべきは「成長性」です。
意思決定者が成長性を意識し、理念を根拠に合理的に意思決定し、率先して理解活動していかなければなりません。
スタンス、論理的思考力、胆力、リーダーシップが制度を設計・浸透させるには必要なのです。
私自身が支援しているのは、スタンスと論理的思考力の部分。
胆力とリーダーシップは代替することはできません。
そこまでの実力はないですし、立場でもありません。
自分が貢献できたプロジェクトを考えると、クライアントに必ず胆力とリーダーシップをもったオーナーがいます。
私はそのサポート役に過ぎません。
自分がコンサルすれば、成長を後押しする人事制度が設計・導入できるわけでは、まったくありません。
クライアントの意思決定者と周囲のメンバー次第です。