産労総合研究所の『人事の地図』を定期購読で読み始めたのですが、人事異動の定義が分かりやすかったのでメモしておきます。
人事異動や配置転換の認識がズレている状態で議論が進まないように。
分類・定義が必要な言葉は以下。
- 人事異動
- 昇格・昇進・降格・降職
- 配置転換
- 職種転換
- 転勤
- 出向・転籍
上位概念に来るのは「人事異動」。
人事異動とは、従業員の地位(等級や役職など)と勤務を変更すること。
さらに社内と社外の異動に分けられ、社内にはタテとヨコの異動があります。
社内におけるタテの人事異動が「昇格・昇進・降格・降職」、ヨコの人事異動が「職種転換(職種変更)」と「転勤」と整理されています。
そして、社外への人事異動が「出向・転籍」。
会社によっては、総合職・一般職などの「職群」があり、その職群変更も人事異動の1つになります。
職群は、タテではなくヨコの異動だと個人的には捉えていますが、多くの会社はタテの異動になっているように感じます。
制度としてヨコでも、文化としてタテになっているという意味も含みます。
話が逸れましたが、個人的に気になったのは「タテ」という整理。
例えば、マネージャーになるという「昇進」をタテの人事異動と整理することは、階層意識(ヒエラルキー)を強化してしまうことになると思います。
たたでさえ、日本社会は強固なタテ社会があり、先輩後輩という間柄が人間関係に強い影響を及ぼしていますが、昇進を明確にタテの異動と位置付けることにはリスクを感じます。
また、タテに昇進することは、上がる(アップする)ことを想起させるため、その分、報酬が上がることも一緒についてくると思いがち。
しかし、実際、マネージャーになったら、すぐに組織成果を最大化できるわけでもなく、一定の成長支援(人材育成)の期間は必要になるため、すぐに報酬アップさせることは実態を伴っていないとも考えられます。
大企業では、マネージャーに昇進することで残業代がなくなるため、そのための補填として役職手当が支払われることも多々ありますが、こういう「普通に考えて、おかしいこと」を何十年も続けてきた結果、おかしいことをおかしいと思えない組織になってしまっているのかもしれません。
マネージャーとして一定の実力がつき、その結果として組織成果の最大化ができるようになったタイミングで報酬アップをガツンとやっていくのがシンプルで分かりやすい。
責任の大きさだけでなく、実際の成果(とその成果に裏付けられた能力)で報酬を決めることが限られたリソースの最適配分だと考えます。