先日、こんな話を聞きました。
人事制度の副作用です。
人事制度には想定以上の力がある
人事制度に長く携わっていると、昔以上に制度に力があることを思い知ります。
ヒトや組織を動かす力です。
それも想定以上に。
「人事制度には、こういう風になっているけど、臨機応変に動いてほしい」は通用しません。
様々な能力、立場、価値観、状況にいる方々を、組織の成果と成長に向かって方向付け、動機付けるように設計しないといけないのです。
これが制度設計の難しさであり、おもしろさでもあります。
想定通りに組織が動いていく一方で、想定外のことも起きます。
そのとき、すぐに議論し、問題の原因を突き止め、対策を講じます。
組織が大きくなればなるほど、しがらみが増えてしまい、軌道修正のスピードが落ちてしまうことに注意が必要です。
「皆勤賞」という制度
ある会社で「皆勤賞」という制度があります。
遅刻、早退、欠席の有無・回数によって加点評価される仕組みです。
そもそも「皆勤賞って、、、」という議論は、今回はやめておきましょう。
本論とズレてしまうので。。。
さて、この皆勤賞、評価を上げたい方にとっては、とてつもないインセンティブとして働きます。
体調が優れなくても、気分が悪くても、始業時間にはPCを立ち上げ、勤怠のボタンにチェックを入れることが目的化してしまうのです。
最悪、インフルエンザであっても、出勤させてしまうのです。
「そんなバカな、、、」といかないのが、人事制度の力なのです。
再び、「そもそも・・・」と議論したくなる気持ちを抑えましょう。
制度の良し悪しはさておき、制度はヒト・組織を動かす力があることを理解することが大切です。
制度で縛るか、方針と採用で縛るか
ヒト・組織を方向付ける場合、人事制度でルールを決めて実行する場合、こうした想定外の動きに対処しなければいけません。
得てして、ルールを追加していく方向で対処されます。
これを前向きに捉えるかどうかは、経営チームの価値観次第です。
一方、ルールで対処しない場合、方針と採用で対処します。
注意は、方針だけでは機能しないし、採用だけでも機能しないということ。
つまり、文脈を自ら理解して判断・実行できる組織にするということです。
良質な文脈が必要だし、それを消化するための頭脳も必要。
そのためには、方針を示すと同時に、その方針を使いこなせる優秀な人材が必要になります。
スタートアップは後者を夢見て組織づくりをしようとしますが、そのためには相手(社員)を信頼し、尊重しないといけません。
そして、信頼・尊重に値する人材を採用しなければいけません。
ここが最も難しい。
スタートアップらしさ、スタートアップらしいカルチャーをつくるには、採用が先です。
制度は、二の次。
組織で「うまくいかない」ことがあったら、自分はまず採用を疑います。
制度を変えやすいけど、採用は変えにくい。
慎重に、慎重に、慎重に進めるべきです。