少し前の労政時報で、イケア・ジャパンの社内公募制度が紹介されていました。
個人的に、この仕組みこそ、配置のあるべき姿だと思いました。
IKEAって、グローバルで売上5兆円を超えているんですね。
でかい。
女性管理職は、50%
労政時報4055号(2023年4月28日発行)の「適所適材の異動・配置進める社内公募制度の運用事例」で紹介されているイケア・ジャパンを参考にしました。
以下、イケアについて、ざっくりとした箇条書きでまとめました。
- 1943年にスウェーデンで創業
- グローバルで460店舗を構える(23年2月時点)
- 多様性があり、インクルーシブな職場環境の整備に注力
- 女性管理職の割合は50%(2022年12月時点)
- イケアバリューという8つの行動指針がある(連帯感、環境と社会への配慮、コスト意識、簡潔さ、刷新して改善する、意味のある違うやり方、責任を与える引き受ける、手本となる行動でリードする)
女性管理職が50%と見ただけで、日本の会社とは違う雰囲気を強く感じます。
サラっと書いてあるところも良きです。
「やらされている」のではなく、自分たちの意識で判断している組織だと感じることができます。
マネージャーへの昇格も社内公募
以下、引用です。
原則として、会社主導の人事異動、ジョブローテーションはなく、上位ポストへの昇格を含め、異動はこのOPEN IKEAを通じて行う
記事を読んで驚いたのは、マネージャーへの昇格も社内公募だということ。
理由は、成長を望む方にチャンスを与えるためだそうです。
これは、グローバル共通の考え方。
シンプルに、ヒトを尊重する意識を強く感じます。
この異動の仕組みは、ジャングルジム型と定義されており、下から上を目指す「はしご型」と対置する形で表現されています。
ライフステージに合わせて、上、下・横を自ら選択するという意味です。
異動のプロセスは、欠員発生や新規部門創設時に公募が行われ、カバーレターを提出して、面接へと進みます。
なお、外部採用よりも社内異動を優先するという考え方が明確にあるようです。
そして、異動(採用)の判断は人事ではなく、現場のマネージャーが採用マネージャーも兼ねているため、現場が判断します。
この現場マネージャーには、不合格とした応募者に対してきちんと理由をフィードバックすることが求められており、そのための集合研修の受講が必須とのこと。
筋が通っています。
制度から見る言動一致
「自律的なキャリア」と言っておきながら、会社主導の異動が行われているのが日本企業の普通です。
要するに、メッセージと制度が言動一致していないということ。
これでは、メッセージが浸透し、体現されることはありません。
イケアの記事を読んでいると、メッセージと制度、さらには運用の言動一致を徹底していることがわかります。
正直、意識してやっているというよりは、「当然でしょ」といったスタンスです。
さまざまな法的制約などから難しいことはわかりますが、そろそろ本気で改革しないと、いつまで経っても変化のない人材マネジメントが繰り返されます。
昭和、平成、令和と時代は変わっているのです。
もちろん、この自律型をどの企業でも推奨するわけではありません。
ただ、個の能力を最大化し、事業を成長させたいと心底思うなら、この方針に学ぶところは多いと思います。
強制的な人材マネジメントで成果を無理くりつくるには、限界が生じます。
こういうときだけ、「なぜ?」と聞くことはイキではないですね。
何事も、自分の頭で考えることが大切です。