とある本を読んでいて、「経営者は、ブレてはいけない」という内容に納得する反面、「ブレる」とはどういうことなんだろう、と素朴な疑問が。
意味を調べました。
- 正常な位置からズレる
- 言うことが変わる
- 態度が変わる
- 二転三転する
- 場面によって言うことが異なる
ざっと、こんな感じでしょうか。
確かに、二転三転するのは困る一方、スタートアップの現場では、この「前言撤回」を潔く決断し、「臨機応変」に意思決定することは必要です。
自分の意見は過去に固執していては、状況に適応できません。
しかし、ブレてはいけないと。
この違いをどう認識すればいいのか、迷うポイントであります。
前言撤回は、「事実」に基づいているか?
自分の中で、こう整理しました。
事実や情勢への考察を通じて、今まで見えていなかったことが見えたり、知らなかったことがわかったり、要は自分の過去の判断が違っていたかも、という場面で前言撤回は行われるべきです。
そして、その理由を説明することで関係者も多少の納得感は出るはず。
ただ、そもそも人間は変わることに拒絶反応を起こす生き物であるため、100%の納得感を引き出すことは難しいです。
でも、そこを突破し、結果で示すことで信頼関係を構築していきます。
この前言撤回からの修正で、失敗が起き、それが続くようであれば、信頼関係は構築されません。
話が逸れましたが、大事なことは「事実」によって過去の決断をひっくり返すこと。
これであれば、「ブレていない」と言えます。
ヒトの感情によって、安易に決断を変えてはいけない
では、「ブレている」とは何か。
それは、ヒトの感情に影響を受け、安易に決断を変えてしまうことです。
良く言えば「優しさ」、悪く言えば「甘さ」でしょうか。
嫌われたくなく性分というか、性弱説のわかりやすい事例だと思います。
決断には、トレードオフが伴います。
トレードオフが伴わなければ、難しくありません。
直感をロジックで検証し、判断すればいいだけ。
初任マネージャーの仕事です。
一方、トレードオフが伴う場合、ロジックだけでは判断がつかなかったり、目先のベネフィットと相反する事象も起こります。
さらには、決断の当事者が嫌われ者になるケースも。
嫌われ者になることを恐れる人は、「自分は嫌われ者になっても構わない」と言います。
そう言わないと、怖くて決断できないから。
嫌われ者になることを恐れない人は、そんなことを言いません。
どうでもいいと思っているから。
そんな発言を言うことは、思いつかない次元なのです。
こういう場面で人の「弱さ」が出ます。
一見、「強さ」をアピールしているようにも見えるし、当事者も「そのつもり」ですが。
フィードバックして、気づきを与える
この場面で真正面から議論を持ち込むと、感情の摩擦となって、疲弊してしまいます。
最後は、意思決定者のポジションで「俺に任せろ」的な空気となり、組織の失望を招く結果となります。
このとき、大事なことは決断の背景を「事実」で語ってもらうこと。
前言撤回の理由を、事実をもって整理していくと、そこに有益な情報がないことに気づきます。
なぜ、決断が変わったのか。
その説明ができない状況を可視化することで、正しい決断に揺り戻すことが大切です。
間違っても「ブレてる」と、正論を吐いてはいけません。
正論を吐けるのは、当事者でない方です。
当事者であれば、相手や組織の状況を理解し、共感した上で建設的な議論に持ち込むことが大切です。