実務的なルールです。評価期間の途中に入社したメンバーは、全員が評価制度の対象になるのか、を決めます。
自分が設計する制度では、Noです。
最後は決めの問題ですが、「なぜ」を整理できていると制度の理解が進みます。人事だけでなく、採用に関わるマネージャーも理解できるようにします。
評価するには、3-4ヶ月は必要
評価期間が1-6月の6ヶ月のケースで考えます。
1月に目標設定、4月に中間評価、6月に期がしまり、7月に期末評価が実施されるイメージです。(早いケースだと期が始まる前の12月に目標設定するケースもあります)
スタートアップは、中途採用が基本のため、例えば3月や5月に入社するメンバーがいます。この方々が、評価制度の対象として評価するか否か、を決める必要があります。
「評価制度の対象になる=給与制度の対象になる」であり、昇給、賞与、スタートアップならではのインセンティブ(信託SO)が関わる場合は、説明責任が求められます。分かりやすいロジックでつくりましょう。
おすすめは、入社日を基準に評価の残期間が3ヶ月、または4ヶ月ある場合、評価制度の対象にするルールです。
評価の残期間を「3ヶ月」とする場合
評価期間が1-6月の場合、4月1日までに入社するメンバーが評価対象です。4月2日以降に入社するメンバーは評価対象外です。
「3ヶ月」とする主な理由は2つです。
- 評価期間6ヶ月の半分という覚えやすさ
- 一定の期間(時間)がないと評価できない、逆の言い方をすると「3ヶ月あれば評価できる」という考え方
また試用期間を3ヶ月と設定している場合、試用期間とも合わせているとも伝えることはできます。(後付け感は否めませんが…)
理由なく「3ヶ月です」と決めるよりは、上記のような理由を添えてあげると、説明する人も説明を受ける人も制度を覚えやすくなります。
評価の残期間を「4ヶ月」とする場合
まずは3ヶ月をおすすめしますが、次の理由を考慮する場合、4ヶ月にします。
入社1ヶ月目がオンボーディングと目標設定で、実質的に動き始めるのが1ヶ月目終盤からの場合です。
「3ヶ月あれば評価できる」は問題ないのですが、1ヶ月目が評価期間として適切でないとすると2-4ヶ月の3ヶ月間が必要になります。
こうした理由で、3ヶ月でなく、4ヶ月にすることがあります。
報酬案分の考え方
評価期間の途中に入社したメンバーの昇給や賞与、SOといった報酬の取り扱いについて考えます。
例えば、評価の残期間が3ヶ月で入社したメンバーの場合、評価期間が6ヶ月のメンバーと同じ報酬とするか、が議論になります。このケースで報酬を案分する場合、「報酬額×50%(6分の3)」となります。
これは報酬の考え方に基づきます。
1つの例を示します。
- 「能力(成果を出せる再現性)」の意味合いを基本給に持たせる場合、短い期間でもその「能力 (成果を出せる再現性) 」を証明できれば、期間に応じて案分せずに昇給する
- 「成果」の意味合いを賞与に持たせる場合、一定期間で残した成果に応じて報酬(賞与)を分配するため、期間に応じて案分する
長期のお休みを取る場合も同じルールで
傷病や育児・介護など、長期のお休みを取る場合も、評価期間の途中で復帰することがあります。
社員数が多くなるとこうした対応も多くなり、制度が複雑だと運用負担が重くなります。
3ヶ月または4ヶ月の考え方を基本ルールとして適用して、これに合わない場合は別の制度設計を考えるのが効率的だと思います。