評価制度は、どうやって改善する?

人事制度は導入したら終わりでなく、改善し続けることが大切です。

等級制度・評価制度・給与制度(報酬制度)のうち、今回は評価制度の改善について取り上げます。

評価が終わったら KPT

中間評価や期末評価が終わったタイミングで、メイン評価者にKPT(振り返り)を依頼します。

spreadsheetに、以下の項目(列)を用意して、関係者に共有します。

(1) 記入者氏名
(2) カテゴリ(例:評価者,評価期間,最終評価,評価会議,
                 評価フロー,評価点,バリュー評価,など)
(3) Keep:良かったこと
(4) Problem:改善できそうなこと
(5) Try:次回やってみたいこと
(6) memo:Tryまでとは言わないがメモしておくこと

評価に入る前に「KPTやるよ」と一言伝えておくと、改善点が挙がりやすくなります。

実際に議論されている具体的な内容を見てみましょう。

Keep:良かったこと

  • 中間評価があることで、中間地点で本人と擦り合わせができる前提のため、本音ベースの評価がしやすい、と感じた
  • ~さんの評価コメントが非常に的確で、評価者としての学びになった
  • 1on1で意識的にフィードバックしたので、目標の認識違いや評価サプライズが無かった
  • 評価会議で、自分の評価と他の評価者の評価が大きくずれていないことがわかって安心した
  • 評価と昇給額が明示されているので、納得感の高い評価制度になっていると感じた
  • 中間評価で率直に意見をぶつけることで、メンバーの残り3ヶ月のパフォーマンスが実際に劇的に改善される、という体験することができた
  • 自己評価の黒塗りはあまり効果ないと思ってたけど、バイアスなくすのに意味ありそう

Problem:改善できそうなこと

  • サブ評価者が変わったことを、被評価者が認識していなかった
  • 職種ごとに評価基準が欲しいという声があった(強い要望ではないが)
  • 評価ヒアリング面談が、4営業日は短めな印象。ちょうど有給取ってる人もいたので
  • 人事評価に関する資料全般が、ちょっと見つけにくいかも
  • 期中に入社したメンバーの目標設定にヌケモレがあった、ここってルールありましたっけ?
  • 各部門の平均点みたいなものを事前に出して、それを元に擦り合わせができると良いかも
  • 評価コメントの入力欄が少し狭いので、量が多いと縦長になり、若干見にくく感じた

Try:次回やってみたいこと

  • バリューの評価基準を、1on1で擦り合わせた方が良さそう
  • 評価者が増えても今の状態を維持するため、評価者トレーニングについて検討したい
  • 振り返りのために「なぜその目標を立てたのか」という背景を、期初にメモ書きしておく
  • 期待する水準に達していない場合、サブ評価者と連携しながらフォロー・フィードバックすると効果的かも(今回は、メイン評価者のみになっていた)
  • 評価会議の時間を午後半日全部に伸ばす、一人ひとりについて確認・共有する時間を設ける
  • 定量的な目標を立てているが、等級別の妥当性があるのか分からないのでガイドラインをつくってみる
  • 評価シートに説明書きがあったので、事前に言及はしていなかったとの話でしたが、細かい変更点も評価依頼の際に人事よりお知らせしようと思った

memo:Tryまでとは言わないがメモしておくこと

  • 評価とは別のフィードバックの観点で、360フィードバック的な場も提供したい
  • 人数が少ないので、ある程度全員の働きぶりをイメージできる状態が今。人数が増えて評価の妥当性を把握することが極めて難しくなりそうだなと感じた
  • 評価者一人当たりの被評価者の数(評価する人数)の上限を、設定するかどうか
  • 今の人数×10倍ぐらいを見据えて、運用できそうかの視点も検討する
  • 評価の依頼は1ヶ月前ごろに、軽く共有してもいいかも
  • 全社の目標を定期的に振り返って、立ち返る機会をつくるのはどうか(評価制度の話とは違いますが)
  • 兼務している人の評価が難しい、そもそも兼務はなくす方向で考えた方が良いと思った

改善し続けることが大切

3ヶ月ごとに中間評価、6ヶ月ごとに期末評価を行うと、年4回、評価を運用します。3年間で計12回、評価を回すことになります。すなわち、12回のKPTも実施することにもなります。

これぐらいの運用を経て、自社に合った評価制度にチューニングされてきます。制度導入後に1-2回、振り返りとしてKPTをやった程度では、まだまだ改善に一歩目です。

さらに、その間に事業や組織が成長すれば、それに合わせた制度・運用の改善も必要です。複数の事業が立ち上げる、組織がマトリクス化する、評価の経験がない新しい評価者が増える、など様々な変化を、制度に反映していきます。

成長を後押しする評価制度を目指し、常に改善し続けることが大切です。

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