組織サーベイについて、議論のポイントになるのが情報公開です。
だれに、どの情報を、どのように共有するか。
そして、その目的(ねらい)は。
質問項目や分析方法に注目が集まり、いざ結果を見る場面になって「これって誰に公開するんでしたっけ」となることも。
結果の良し悪しによっても、この辺の考え方が変わってしまうので、事前に決めておくことが必要です。
全社員への情報公開
組織サーベイに回答してくれたことへの感謝と「今後もよろしくお願いします」を込めて、全社員に全社(全部門)の結果を公開します。
結果のスコアだけでなく、事前に経営やマネージャーで振り返り・議論した良かった点と改善点、課題、原因、対策について共有できると、次回以降の回答インセンティブや会社への信頼に貢献できます。
会社によって違いが出るのは、部門単位の結果まで公開するか否か。
カルチャーとしてオープネスを重視している会社では、公開しています。
ただし、単にスコアだけを公開すると、スコアが一人歩きする懸念もあるため、振り返りや議論の内容をメッセージングすることがオススメです。
マネージャーへの情報公開
各社でマネージャーの定義は様々ですが、1つの考え方として自組織(チーム)の結果を公開する、です。
自組織の課題設定と改善に向けて、サーベイ結果を把握します。
横チームの結果を公開しない場合、部門長から各チームのマネージャーに1on1等の機会を使って共有・話し合う時間を取ったり、HRBPも参加してファシリしたりすることもあります。
ただ、チームによっては人数(母集団)が違うことが想定されます。
最も避けるべきは「あの人がこう回答した」という個人が特定されてしまうこと。
そのため、人数が少ないチームは非公開とするルールも設けます。
だいたい、マネジメントを除いて3-5名で基準を設計することが多いです。
また、マネージャー自身のスコアが入ってしまうとスコアが濁ってしまう可能性があるので、マネージャー自身のスコアを除いて公開するのも丁寧なやり方です。
こうした細かい調整は、サーベイを実施して「運営に対する振り返り」を実施していくと、各社の状況によってポツポツと出てきます。
サーベイの結果だけでなく、運営の振り返りもマストで実施することをオススメします。
メンバーに対する情報公開
上記の「全社員への情報公開」とややこしいカテゴリですが、「全社員への情報公開」は全社員へ一律で公開する情報。
一方で「メンバーに対する情報公開」は、メンバー自身が所属する最下層の組織単位における情報公開のガイドラインです。
たとえば、「ビジネス」組織の「セールス」組織の「インサイドセールス」組織の場合、インサイドセールス組織のメンバーに対する情報公開となります。
このメンバーに対する情報公開も悩みどころ。
メンバー本人の回答次第でスコアが変わってしまうため、その情報をダイレクトにフィードバックすることにリスクがあります。
基本、自分の場合は非公開。
ただし、マネージャーが自組織の結果を共有しながら、メンバーと話し合いたいという場合に限り、HRも交えて「場」を設けるのは有り、というスタンスです。
改善に向けたファシリの準備がマストで、単に不満・愚痴の捌け口になってしまわないようにHRとマネージャーでリードしながら進めます。
運営の負担がかかるため、ケースバイケースで実施検討をするのが現実的かと思います。