ニッチな議題がありました。
確かにあります、自己評価が「低いな」と感じるケースが。
ストイックと意図的
自己評価が低いケースとして、主に2つのケースがあります。
ストイック
「自分の目指すところはこんなところじゃない」とか、「まだまだできる」とか、ストイックに自身の成長を追い求めるケース。
会社の基準はさておき、自分の納得できるレベルに比べると「まだできていない」という自己評価になります。
意図的
意図的、もしくは戦略的に自己評価を下げるケース。
本人としては「できていない」とは思っていない一方で、もし「できている」と自己評価するも上長評価が「できていない」だったら面倒だし、都合が悪い。
適切に評価してくれる上長から「いやいや、できているよ」と言われる方が心地良い。
どちらのケースが多いかどうかは特になく、この議題が挙がった際、「この人はストイックタイプだよね」だとか、「このケースは意図的に(自己評価を)下げている気がするな~」といった会話になります。
なぜ、ダメなのか?
ストイックも意図的も、あまり好ましい行為ではありません。
ストイックに対する理由と意図的に対する理由をわけて整理します。
【ストイック】評価者になった際、評価が厳しくなる
ストイックな方が、被評価者から評価者に変わった際、自身のモノサシでメンバーを評価してしまい、ストイックな(高い・厳しい)基準を相手に求めてしまうことが懸念されます。
「セルフスタンダード」という評価バイアスです。
このバイアスは、本人の成長意欲が善意となっているので、なかなか修正が効きません。
なお、評価者にならずとも、一緒に仕事を進める仲間に対して、期待するレベルが高く、当たりがきつくなってしまいという問題に派生するケースもあります。
「成果が出ていないので、なんで定時で帰るんだ」とグウの音も出ない正論を発してしまうことも。
相手には事情があるのです。
みんなが同じ成長意欲をもっているわけではありませんし、成長が「正しい」かどうか、「善い」かどうか、も分かりません。
スタートアップには求めたいものですが、その意識が低い方を採用したら、それを押し付けるもの違うと思います。
【意図的】改善されない
自己評価と上長評価の本音を擦り合わせることで、自分が見えていなかった点をフィードバックされ、
自分で気づき、改善(成長)していきます。
意図的に自己評価を下げていると、自分では「できているかも」と思っていながら低めにつけた自己評価に対して、上長も低い評価をつけると、自身の当初の「できているかも」仮説を打ち消してしまい、「そうですよね」と流れてしまいます。
GAPの存在が明らかになっていないため、上長も「自己認識できているんだな」と安心して、次頑張ろう!となります。
しかし、本人はできているつもりなので、何が足りていないのか、がわからないまま過ぎていきます。
わからないことをわからないと言えない非常に困った状況になります。
原因と改善が擦り合わせられないので、同じミスや失敗が繰り返されます。
意図的なケースについて、本人が思っている以上に負の影響が大きいのです。
「自分が納得できるレベルに・・・」
対策として、上長と被評価者の2つの立場にアプロ―チします。
「なぜ、ダメなのか」を理解する
まず上長について、上記の「なぜ、ダメなのか?」の理由を理解します。
得てして、自己評価が低いケースでは評価のフィードバックが楽なので、上長も放置しがち。
放置するインセンティブとしては十分です。
しかし、この放置は将来的にしっぺ返しが来ます。
相手が自分が所管するグループのチームリーダーのなった際、厳しい目線でメンバーをつぶしてしまうかもしれません。
このタイミングで、本人へ「ストイック」なことをフィードバックしても、自分はそう育ってきた(そうやって成長し、成功してきた)という自負・自信があるので、簡単に改善できません。
意図的なケースは、同じミスが繰り返されます。
なぜ言ってもわからないのか、改善されないのか、と悩みが尽きなくなります。
「自己評価が低い」ということは、放置できない人材マネジメント上のイシューなのです。
「自分が納得できるレベルにに達するには、あと何をすればいい?」
自己評価が低い被評価者に、いきなり「なぜ、ダメなのか?」からアプローチするのは酷です。
上長が理由を理解したら、被評価者にはこんな問いがあります。
これは、とある経営者の方が実践しているTipsで、自分も教えてもらい「これは使えそう!」と膝を打ちました。
- 「自分が納得できるレベルに達するには、あと何をすればいい?
この問いを投げかけると、相手が思い描く到達点が見えてきます。
そもそも、うまく答えることができない場合は、意図的に自己評価を下げているため、「できてるじゃん」と伝えてあげるだけでOK。
出てきた到達点に対して「それは120点のレベルだよ」と伝えてあげれば、ストイックな方も悪い気持ちにはなりません。
低い自己評価を上げようとするのではなく、期待水準の擦り合わせを行い、自然と是正される状態をつくることが、この問いの狙いです。
実践の場から開発された一言に、ホンモノを感じました。