組織サーベイの質問項目に「組織の意思決定スピード」があります。
意思決定が「早い」組織と「早いとはいえない」組織の違いについて、組織サーベイの定量分析ではなく、個人の考えを整理してみました。
ちなみに「早いとはいえない」であって「(意思決定が)遅い」とまでのニュアンスはありません。
「意思決定が早い」とは「行動(実行)が早い」という意味である
意思決定と聞くと、決めること・判断すること・決断すること、などをイメージするかもしれません。
正しい理解ですが、組織サーベイで回答している方々の頭の中を推察すると、どうもそうではないのかもしれない、と考えています。
自分は、行動(実行)までの時間が短い、つまり着手までのスピードが異常に早い組織こそ、意思決定が早い組織だと考えています。
スタートできれば、実行そのもののスピードは変わらないけど、スタートするまでの時間に違いがあると。
具体的には、こういうことです。
意思決定が早い組織は「やった方が良さそう」と感じるテーマについて「まずはやってみよう!」となる。
詰めが甘い部分は確かにあるかもしれませんが「やってみないとわからない」と正直な気持ちを吐露し合う。
そして「で、いつやる?」。
ここまでのスピードは、課題を発見したその場で行われ、着手の日時まで決まります。
あとは実行されるのみ。
一方、意思決定が早いとはいえない組織は「やった方が良さそう」と感じたとしても「まずはやってみよう!」とはなりにくい。
この違いとは、何なのか?
2つの要因を思いつきました。
【1】ミニマムスタート
「まずはやってみよう!」ができる組織は、ミニマムスタートをきることが得意です。
致命的なリスクではなく、明らかにデメリットがメリットを上回っていない、と判断できれば、小さいリスクと捉え、実行に移されます。
リカバリーできる範囲を見極め、積極的にリスクテイクします。
当事者は、リスクテイクの感覚はもっていません。
意外と、この思考プロセスと行動プロセスを取れる組織は少なく、強みになり得ます。
スタートアップは先が見えない、というか本当に先がわからないので、試行錯誤の回数とスピードが肝になります。
この機敏性に、拡張していく組織が慣れることは大切です。
初めは驚きと戸惑いがありつつも、経験を通じて徐々にそれが普通になっていきます、もちろん常に苦労は伴いますが。
そして、振り返り。
必ず振り返りが行われ、表面的な議論ではなく、本質を語り合い、やめる判断も辞さない。
安易に自己を正当化して、実行を引き伸ばしたり、やめる決断を先送りすることはありません。
やめる判断は失敗ではなく、学習と捉えます。
この繰り返しの先に成長があるという信念があります。
わかってはいるし、本でも読んだことがある、先輩経営者も言っていたので知っている、けれどもできる組織は限られます。
【2】綺麗事で進めない
少し表現が強いかもしれませんが、「まずはやってみよう!」ができる組織は、単なる綺麗事を嫌います。
誰もが認めるくらい魅力的だったり、正論だとしても、組織のメンバーが自主的についてくるか、という実利的な観点でモノゴトを考えます。
平易な言葉で言い換えると、当事者本人にとってメリットがあるか。
損得勘定のように聞こえてしまい、陳腐さを感じてしまうかもしれませんが、人・組織なんて「そんなもん」という感覚が、自分にはあります。
本気でやり切るためには、この単なる綺麗事というレイヤーを一段乗り越える必要があります。
綺麗事を言って満足するだけでなく、どうしたら組織が動くか、自分たちからやりたいと思えるか、まで考えたいところです。
綺麗事を完全否定しているわけではなく、綺麗事も大事だけど、現実的に人・組織が前向きに動くのか、という観点で当事者意識をもっていないと、綺麗事だけを共有した際に組織のモチベーションが急降下したり、Vision・Missionへの求心力がなくなったりするリスクがあるという話です。