あるクライアントさんで、OKRと評価制度(目標設定型の個人評価)を併用しています。
2つの仕組みの違いについて、クライアントさんの整理・言語化が「なるほど」だったので、まとめてみました。
OKR は、フォーカスするもの
OKRは、一定期間でやるべきことをフォーカスする、つまり「絞る」ことが大切。
「あれも、これも」ではなく、「あれか、これか」を考え、決めるのがOKRです。
「Key Result(主な結果)」の理由にあたる「Objective(目的)」を言語化することで、「あれか、これか」というやるべきことの背景まで共有することができます。
結果として、組織・個人の方向付けに役立ちます。
一方、評価制度では「やったけど評価されない」は、評価制度やマネージャーへの不信・不満につながりますので、「重点的な目標が何か」は擦り合わせたとしても、周辺領域の目標も言語化して、まんべんなく振り返り・評価していきます。
OKR は、他組織・他者に共有するもの
OKRを通じて、他組織や他者が今、何に取り組んでいるのかを共有します。
組織が大きくなればなるほど、周りが何をやっているのか見えなくなってくるもの。
フォーカスされたOKRがあれば、この期間で重点的に取り組んでいることがわかりますし、コラボレーションもしやすくなります。
Key Resultだけでなく、Objectiveがあることで指標や数字の裏側にある目的や背景を知れるのも特徴です。(抽象的かもしれませんが)
一方、評価制度でも目標を公開すれば同じ効果を得られるかもしれません。
ただ、個人の目標はフォーカスされていないがゆえ、評価者も被評価者も周囲に公開したくない内容があったりします。
例えば、他者をサポートする目標や被評価者自身の弱みを改善する目標、OKRに入っておらず全社にはまだはっきりと伝えていないけど中長期的な視点でリサーチしておきたい目標など。
評価者と被評価者だけで握っておく方が無難な状況も現実的にはあり、目標をすべて公開されるのも困ってしまうことがあります。
OKR は、3ヶ月で振り返り、更新するもの
これは自分の整理ですが、OKRは3ヶ月で振り返り、更新していきます。
先が見えにくく、トライ&エラーを繰り返しながら学習・成長していく組織であれば、6ヶ月や1年ではなく、3ヶ月で振り返るのが、いい塩梅だと思います。
振り返りの結果を踏まえて、次の3ヶ月のOKRを定め、組織・個人が認識ズレを起こさず、モチベーション高く行動できるように方向付けていきます。
3ヶ月で振り返り、更新していくのは簡単なことではありません。
運用の負担は大きく、経営チーム・マネージャーがOKRの実現に当事者意識をもってやり切る気概がないと、あっという間に形骸化してしまいます。
一方、評価制度は6ヶ月間で最終評価を決めます。
3ヶ月で中間評価をやり、目標の軌道修正はあったとしても6ヶ月間の総合評価です。
個人の報酬に反映することを前提とした評価制度では、3ヶ月で評価・報酬改定する運用の負担は大きいなど、様々な不都合があります。
よって、個人の振り返りを早めにフィードバックして認識ズレを起こさないように中間評価はあるものの、評価期間は6ヶ月と定めています。
OKRと評価制度を併用する場合、その違いを言語化して関係者に伝えておくと、OKRや評価制度における目標設定の中身についてもプラスに作用することが期待できます。
他社が運用しているものを真似て「まずはやってみる」の精神で、自社に様々な仕組みを取り入れることも大事ですが、マネージャーやメンバーが制度疲れに陥らないような理解活動も合わせて進められると良さそうです。