マネージャー任命の難しさ。
意思決定の難しさと失敗したときの挽回の難しさがあります。
失敗した際、振り返って次に活かすのも難しいです。
やってみないとわからない
マネージャーの仕事は、自分ではなく、他人を通じて成果を出します。
メンバーからマネージャーに変わると、仕事が大きく変わります。
そういう観点では、マネージャーの仕事をやってみないと、マネージャーに相応しいかどうかわかりません。
過去の働きぶりや評価、アセスメントなど様々な人材情報から「何となく」はわかりはするものの、やってみて「マネージャーの適性がないかも」「マネージャーよりメンバーの方が合っていそう」と把握できることがあります。
また、マネージャーを推薦する上長・関係者は、自分の思い描く組織づくりのため、様々なプロコンを考慮した上で、最適な選択肢を提案します。
現場以上に現場を把握することはできないため、明らかな問題ケースでなければ周囲も強く反対することはできません。
こうして現場主導で決まっていくマネージャー任命で失敗が起きると、周囲への影響が大きく、挽回に時間も労力もかかります。
チームが瓦解してしまうと、組織成果へのマイナスはもちろん、離職やメンタルなど、人の問題に帰結することも少なくありません。
問題を検知しても、すぐに対処しにくい
マネージャー任命の課題として、問題を検知しても様々な事情ですぐに対処しにくいことがあると思います。
何となく「このままマネージャーを継続させると、問題が大きくなりそうだな」と肌感覚でわかっていても「周囲でフォローしよう」「上長からフィードバックしよう」といった形で濁されてしまいます。
理由は、マネージャーからポストオフすることへの心理的な負担です。
自分たちの選択が間違っていなかったことに固執もしたいし、マネージャー本人のモチベーションもあるし、周囲からの見られ方もあるし、、、
いろいろな事情で、ポストオフの意思決定ができません。
正しくは「ポストオフの意思決定が遅れてしまう」、つまり問題が大きくなり、これ以上放置できないとなったタイミングで対処されます。
何となく「こうなりそう」と思っていた事案なので、振り返りをしても、深く突っ込んで議論されることが少なく、「次回以降、気をつけよう」といった精神論になりがちです。
自分が、あのとき『No』と言っておけば、と関係者は心でつぶやいています。
本任命の前に、仮任命の期間があってもいいかも
先ほど記載した通り、マネージャーになると仕事が大きく様変わりします。
よって、できるかどうか、適正があるかないか、はやってみないとわからない部分があると思います。
そこで、自分の提案はマネージャーに任命する際、本任命と仮任命をわけること。
まず仮任命として6ヶ月間、マネージャーの役割を遂行してみる。
採用、計画立案、目標設定、1on1、勤怠管理、健康管理、組織間連携(調整)、人事評価、報酬決定、フィードバックなど。
そして、一連の仕事をやってみた後に振り返り、問題なければ本任命、もし気になる点があれば仮任命を継続したり、その時点でマネージャーを外れることも有り。
このワンクッションがあるだけで、複雑な事情をいったんわきに置いて、シンプルに問題に向き合えるのでは、と考えています。
採用でいうところの「試用期間」です。
振り返りの観点は、事前に定め、本人含め関係者に周知しておくことが必要です。
例えば
- 組織(チーム)として、成果が出ているか?
- メンバーや周囲から、マネージャーとして認められているか?
- 人・組織に問題は起きていないか?
- オペレーションは回っているか?
1 は、上長の評価で振り返ることができます。
2 は組織サーベイ、3 と 4 は人事が客観的に把握できます。
注意したいのは 2 で、メンバーからネガティブな意見が出た場合、その詳細や背景は人事で調査することが必要です。
マネージャーの問題なのか、はたまたメンバーの問題なのか、中立的な立場で問題を見極めることが求められます。
この仕組みがあれば、マネージャーに任命されると安泰といった気持ちも多少は薄まるかと思います。