ラジオ番組のお悩み相談の中で「人を変えることはできない」と話していることに強く同意しています。
人、つまり自分以外の相手を変えることができる、は、正直きれいごとに聞こえてしまう自分がいます。
人事を領域としている自分がこんなことをいっていると、怒られてしまうかもしれませんが。
チームのコンディションはマネージャー次第
わかっているようで受け入れられない事実は、チームのコンディションはマネージャー次第であること。
もちろん様々な要因はありますが、その主はあくまでもマネージャーです。
マネージャーが、チームのコンディションを左右します。
メンバーへのヒアリングや組織サーベイを数多く経験してきた自分の考えです。
マネージャーが良ければチームのコンディションは良くなる、その逆もしかり。
なので、チームのコンディションに課題があり、改善したい場合は、マネージャーを育成して変えるか、マネージャーを配置転換して変えるか、です。
だれもネガティブな配置転換はしたくありませんので、マネージャーを育成して変える方向に向かいますが、なかなかうまくいきません。
なぜなら「人を変えることはできない」ので。
「人を変えることは、そう簡単にはできない」ので、ではありません。
「人を変えることはできない」ので、です。
マネジメントは得手不得手
マネージャーとしてスキルやテクニックを教え、できなかったことをできるようにすることは可能ですが、限界があると思っています。
得手不得手の領域であり、不得手の人をいくら育成しても限界があるという意味合いです。
この育成にこだわると、その負担を被るのはメンバーであり、取り返すことに時間のかかる事態に陥るリスクがあります。
メンバーの退職やメンタルダウンなど。
話は少し変わりますが、人事の本・雑誌を読んでいると「人に差など無い」「みんな横一線」みたいな格言を仰る経営者を見かけますが、自分はこういうの苦手です。
きれいごとに聞こえてしまうので。
こういうきれいごとを話すと、有言実行・言行一致していないカルチャーが醸成されるという仮説を、自分は持っています。
話を戻すと、不得手の領域を担っている際、人(相手)を変えることができるという理想で立ち向かっても期待する成果は出ません。
では、その人を配置転換するしかないのでしょうか。
「変える」のではなく「増やす」
マネージャーを配置転換したり育成して変えるのではなく、マネジメントが得意なマネージャーをチームに増やすことが1つの策だと考えています。
やにくもに増やすことはレポートラインの複雑化や意思決定スピードの低下、責任所在の曖昧につながるので、きちんと人選と配置目的を考える必要がありますが、「変える」のではなく「増やす」が成果に繋がります。
この考えに至った背景の1つとして、よくクライアントから質問される「マネージャーは何人のメンバー(部下)を見るべきか?」「マネージャーのスパンオブコントロールは何名?」があります。
だいたい「7名」ぐらいという噂はありますが、これも変数が多すぎて正解はないと思います。
そこで自分は、少ない方が良い、という方針のもと、1マネージャーにつき、3-4名、多くても5名がいいのではないか、と考えるようになりました。
人が増えれば、当然難易度が多くなるので少なくした方がシンプルに良いのでは、という意見です。
そう考えると、多くの組織では1マネージャーにつくメンバー数が多い、逆の言い方をするとメンバーに比してマネージャーの数が少ない、という状態になります。
なので、マネージャーを「増やす」ことで課題解決しようと。
印象の話ですが、組織ではマネージャーを安易に増やさない方がいいのでは、という前提があるように感じています。
部下なしマネージャーはもちろん不要ですし、目的のない(薄い)マネージャーも必要ありません。
ただ、1マネージャーにつき3-4名のメンバーで構成されるチームとした場合、自社はマネージャーが足りているのか、は組織を点検する際のキッカケになるかもしれません。