昇格(等級が上がること)は、昇格者本人にとっても、会社・マネージャー(評価者)にとっても、影響力のある人事イベント。
昇格者の公表(発表)についても、自社のスタンスを示したいものです。
そもそも、個人の等級を公開しない会社にとっては検討テーマから外れますが、自分は等級は公開する派。
(参考:個人の等級(グレード)は公開する?)
そこで等級を公開する前提で、昇格者の発表について考えてみます。
透明性、納得感、信頼性
等級の公開と昇格者の発表、この2つの最たる目的は、「情報の透明性を高め、自分だけでなく周囲の等級判定に対する納得感を醸成し、人事、さらには経営への信頼性を強化したい」です。
個人の評価結果、報酬は公開しません。
唯一公開される等級は、等級要件に基づく会社のメッセージです。
何が評価されているのか、が実体である人を通じて発信されます。
「あの人は、やっぱり5等級だよね」と思われるのか、「なんで、あの人が5等級なの?」と思われるのか。
これが納得感と信頼性に大きく影響を及ぼします。
昇格者の発表は、この等級情報とその背景(理由)を知るキッカケになります。
あくまでもキッカケです。
すべての背景を把握することはできません。
そこは昇格レポートの役目です。
自分が設計する人事制度には、一貫して「透明性・納得感・信頼性」を意識しています。
仕事に集中できる環境をつくるためには不可欠な要素なので。
ちなみに、等級を公開している & 昇格者を発表している会社で「他人の等級に興味はない」「周囲の等級について声が挙がることはない」などの意見が出ることがあります。
なので「等級を公開しなくてもいいのでは?」「昇格者を発表しなくてもいいのでは?」と。
自分は、等級を公開したり、昇格者を発表したり、且つその等級の判定に違和感がないため、「他人の等級に興味はない」「周囲の等級について声が挙がることはない」などといったコメントが出てくるのかと思います。
昇格者発表のパターン
昇格者を全社に向けて発表する場合、全メンバーが集まる会議体を使います。
発表の方法について、2パターンを紹介。
① 評価者が昇格者を発表する
昇格を判定した評価者が、昇格者を発表して、高く評価した点や昇格に見合う活躍・貢献ぶりをスピーチします。
昇格者の人数にもよりますが、昇格者一人当たり3-5分程度のイメージです。
昇格者と、普段仕事で関わる機会が少ない人もスピーチを聞きながら、どういう仕事をしているのか、どんなスキルを発揮しているのか、どれくらいの成果を残したのか、を知るキッカケになります。
さらに知りたい人は、昇格レポートを読めば事細かに把握することができます。
② 昇格者本人もしゃべる
評価者のスピーチだけでなく、昇格者本人がしゃべるケースもあります。
評価者が昇格の背景を説明し、昇格者本人は今後の決意表明をします。
昇格後にどんなことをやっていきたいか、周囲にどんなサポートをお願いしたいか、など昇格レポートに記載した内容で重複することを是としたスピーチです。
恥ずかしい部分もあるかもしれませんが、昇格は本人と会社の双方にとっての「成長」を認め、賞賛する機会です。
この発表には、褒賞の意味も含まれています。
フェーズによって対応は変わる
組織規模によって、昇格者発表のやり方は変わります。
100名から200名規模であれば、全社向けに発表することは可能です。
ただし、それよりも多くなってくると昇格者の数が増えて発表の時間は長く冗長になってしまったり、組織規模が大きくなるがゆえ、業務上の関わりもなく、距離感が遠くなってしまい、昇格の背景をほとんど理解することができない状況になり、スピーチを聞くことが難しくなってくることがあります。
その場合は、部門内の会議体で共有する形式に変わっていきます。
もしくは、このタイミングで評価者や昇格者本人からのスピーチはやめて、文書を通じて昇格者を共有する形式になることも。
このあたりは、会社によって違いが出ます。
どの形が正解ということはなく、「透明性・納得感・信頼性」という目的を果たすため、自社に合ったやり方を模索することが大事だと思います。