人事制度って、何のためにある?

人事制度を「等級制度・評価制度・報酬制度の3つで構成される会社のルールブック」と定義します。

この人事制度の目的について考えてみます。

人事制度の目的は、個人の給与を決めること

人事制度が、実際に使われる流れを簡潔に示します。

【入社時】

  • 等級要件に照らして個人の等級(例:3等級)を決める
  • 等級に紐づく給与レンジ(例:3等級は400-600万)内で、現在の給与や社内バランス、社外水準を考慮して給与を決める

【入社後】

  1. 等級要件に照らして評価して個人の等級を見直す
  2. 等級を変更する場合、新等級の給与レンジ(例:4等級は600-800万)内で、現在の給与や社内バランス、社外水準を考慮して給与を決定する
  3. 評価制度に基づいて評価を行い、給与改定する(例:B評価=基本給1万円を昇給)

給与レンジ内の給与の決定方法や評価方法など細かいルールが、他にも必要です。

また、最後は”エイヤー”で決める場面もありますが、基本的にこのような流れで個人の給与が決まります。

人事制度は、個人の給与を公平に、かつ適正な水準に落とし込むためのツールです。

方向付けや人材育成の効果も期待できる

給与決定の他にも、期待できる効果があります。

「方向付け」と「人材育成」です。

方向付け

等級要件や評価基準は、会社が期待する人材像や期待する行動・成果の基準です。

一人ひとりに「こうあってほしい」と説明することなく、会社の考え方を伝えることができます。

個人・組織を方向付けています。

バリューを人事制度に組み込めば、バリューの理解・浸透にも役立ちします。

正しく伝えるために、基準の分かりやすさ(制度の良しあし)はもちろんのこと、基準を正確に理解したマネージャーも必要不可欠です。

そもそも基準に合致・共感・納得したメンバーがいなければ、どんなに良い制度を作ったとしても効果は期待できません。

人材育成

会社が示した基準で、マネージャーがメンバーにフィードバックする仕組みが人事制度です。

人事制度は存在するけど、運用されずに形骸化しているケースでは、会社が示す基準が使われない、フィードバックされない、といった状態に陥ります。

制度がきちんと運用されると、フィードバックされるメンバーの成長支援だけでなく、フィードバックするマネージャー自身の成長にもつながります。

有言実行の環境をつくることが、マネージャーの成長には非常に効果的です。

最重要は給与決定

方向付けや人材育成の目的を果たしたとしても、給与決定に落ち度があり、メンバーを採用できない・辞めてしまうという状態では、人事制度をうまく運用できている状態とは言えません。

給与決定の透明性とフェアなプロセス、そして給与水準が肝になります。

オープンにできる部分はなるべくオープンにして、お互いの期待値を調整します。

そして、社外の給与水準を常にリサーチして、他社に負けない水準を目指します。

リソース(報酬原資)が限られているスタートアップでは、他社に圧倒的に勝てる水準よりは、給与を理由に退職することを防ぐという意味で「負けない水準」を意識することも大切です。

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