抽象的なカルチャーについて、具体的な話をしてみます。
まずカルチャーの定義について、自分は次のキーワードを使って理解・整理しています。
- カルチャーとは「暗黙の前提」である
- カルチャーとは「行動」である
- カルチャーとは「慣習」である
- カルチャーとは「空気」である
「暗黙の前提」は、シャインの『組織文化とリーダーシップ』から学びました。
カルチャーとは、日々のやり取りの中で見る・感じることができます。
特に「時間」に対する向き合い方・スタンスを通じて、その組織のカルチャーがわかります。
時間を守る組織
時間を守ることが徹底されている会社があります。
会議の中で議論が盛り上がってしまい、結論までたどり着けない。
よくある状況です。
そのとき、「時間きちゃうので、別のミーティングをセットしよう」と誰かが発言します。
そして、時間通りに会議は終了し、解散します。
これがカルチャーです。
会議の時間を延ばして後ろの人に迷惑をかけてはいけないという「暗黙の前提」があり、結論が出なければ次の会議をセットするという「行動」につながります。
2回目の会議では、1回目で決めきれていない論点を洗い出し、「2回目なので」というプレッシャーのもと、意思決定がなされます。
こういう組織は、一言でいうと「約束を守る」組織。
子どもっぽい言い回しかもしれませんが、売上を伸ばす、Mission を実現する、プロダクトをローンチする、もすべて「約束を守る」に包含されます。
なので、「約束を守る」組織は、事業も組織も成長します。
「約束を守る」組織に共通していることは、経営者(トップ)が時間への意識が高く、絶対に時間を守っている、且つ守ろうと必死になっていること。
「時間を守ろう」と宣言して、何としても有言実行する。
そのための仕組みも空気もつくる。
言行一致しているので、メンバーも妥協できません。
自分の前の会議が伸びそうであれば、会議室をノックして「時間ですよ」と言ってくれます。
みんな約束を守ろうとします。
そして守ります。
目標を達成しようと努力します。
そして達成します。
時間を守らない組織
同じ会議の場面で、時間を守らない組織を考えてみます。
終了時間がきましたが、結論にたどり着けていません。
皆さん、時間がきていることを認識しています。
でも「終わろう」「別の会議をセットしよう」と言い出せません。
そんな「空気」が漂っています。
次の会議を、Zoomで待機している方は、「前の会議が伸びているんですかね」と無駄な時間を過ごします。
このような会議は、気持ちも焦っているので結論がエイヤーになったり、細部が決めきれていない状態で、決まったとみなして、あとは現場に任せるという雑な意思決定になりがち。
案の定、別の機会に「あれどうなったっけ」と再び話し合うことに。
「約束を守らない」組織へとなっていきます。
一見、成長している風に見えますが、中身の品質がともなっていません。
中途半端な事業・組織になってしまいます。
「約束を守る」会社との差分は非常にわかりやすいです。
トップが時間を守りません。
必ず1-2分、会議に遅れてきます。
おもしろいくらい時間を守ってくれません。
守るほうがレアです。
このトップの姿を見る、もしくは待たされるという体験を繰り返すと、マネージャーやメンバーも同じことをマネするようになります。
そして、前の会議が伸びるなど時間が守られていないケースに遭遇しても「時間ですよ」と声がけされません。
時間に遅れることは仕方ない、と妥協します。
そして、みんながそれを許容します。
約束を守れないことがあっても仕方ないと。
売上を伸ばす、Missionを実現する、のが先送りになっても仕方ないと。
後でやればいい、と「暗黙の前提」へと昇華します。
まずは会議をシャットダウンしてみる
自組織がこのカルチャーだと、なかなかつける薬がなく、長い物には巻かれてしまうのでズルズルと悪い慣習が強化されていってしまいます。
時間を守ろう、と何度言っても効き目がありません。
正論だ、綺麗ごとだ、と聞く耳をもってくれませんので。
(そもそも人の話を聞いてないケースがほとんどです)
処方箋としては、会議時間になったら強制終了すること。
会議オーナーが事前に「時間になったら終わります」と言って、思い切って Zoom を切っちゃいましょう。
これを「暗黙の前提」として、Zoom を切るという「行動」を積み上げていきましょう。
魅力的なカルチャーが醸成されると思います。