「評価者の設定について、よく受ける質問と回答」に中で「【Q5】期中に、メイン評価者を変えることは OK?」という質問を紹介しました。
回答は OK。
ただし、「ただし、2名のメイン評価者がいるため、最終評価の決定方法は別途設計する必要」があると書きました。
今日は、この設計について書きます。
パターンの整理
期中にメイン評価者が変更して、変更前と変更後の2名のメイン評価者がいる場合、それぞれの評価者が評価する期間は大きく3つのパターン(A/B/C)に分かれます。
評価期間は、6ヶ月で考えてみました。
パターン | 変更前のメイン評価者が評価する期間 | 変更後のメイン評価者が評価する期間 |
A | 1-2ヶ月 | 5-6ヶ月 |
B | 3ヶ月 | 3ヶ月 |
C | 5-6ヶ月 | 1-2ヶ月 |
現実的には、メイン評価者が2名ではなく、3名以上になるケースもあります。
自分の経験でもありました。
ただ、3名以上になってしまうのは、期初の評価者を設定する際、真剣に考えていないことがほとんどです。
「スタートアップは変化のスピードがスゴイから」といった表面的な理由をつけて、正当化しますが、単に考え切ることができていなかっただけです。
この状態になってしまったら、被評価者はそもそも評価に対して不信感を抱きますし、納得感は無理。
話が少しそれましたが、評価者の変更は期中に1回という前提は擦り合わせておきたいです。
(もちろん事業の状況が変わったり、メイン評価者が退職したり、等の事情は別問題です)
対応方針
次は、A/B/C における最終評価の決定方法です。
複雑な状況が多々起きるため、まずは対応方針。
自分が考えは
「評価後の期待や改善を伝えていく役割を担っている変更後のメイン評価者が、変更前のメイン評価者より人材情報(評価情報含む)を引継ぎ、最終評価する」
です。
評価は、過去の振り返りだけでなく、今後の期待について話し合う場。
今後の期待を、当事者意識をもって考えることができるのは、評価後のマネジメントを担う変更後の評価者であることは間違いありません。
なので、基本は変更後のメイン評価者が責任をもって対応するという考え方です。
A/B の場合
変更後のメイン評価者が、変更前のメイン評価者から引継ぎを受けて評価します。
A はそもそも評価する期間が長いので、短い期間を引き継げば評価できるでしょう。
Bの場合、評価期間は同じであるものの、変更後のメイン評価者が、その評価後も被評価者をマネジメントしていくからです。
C の場合
難しいのが、C の場合です。
今後の期待を考える観点では、変更後のメイン評価者に最終評価をお願いしたいところではありますが、いかんせん変更前のメイン評価者の方が評価している期間が長い。
この場合、評価が数値化されているなら、変更前と変更後のメイン評価者双方に評価を実施してもらい、評価を案分します。
変更前のメイン評価者が4ヶ月、変更後のメイン評価者が2ヶ月であれば、前者の評価を6分の4、後者の評価を6分の2として、最終評価を決定します。
それぞれの評価結果を評価したメイン評価者から伝え、機械的に案分された最終評価を変更後のメイン評価者が伝えます。
今後の期待を添えて。
ただし、評価が数値化でいない場合、評価を案分できないゆえ、A/B と同じ方法で対応することも有ります。
その際、今後の期待を考える変更後のメイン評価者が、どうしても評価期間が短いゆえ、最終評価をつけることができず、変更前のメイン評価者に最終評価をお願いすることもあります。
評価面談やフィードバック面談には、両方のメイン評価者に入ってもらい、過去の振り返りは変更前のメイン評価者、今後の振り返りは変更後のメイン評価者という役割分担です。
手間はかかりますが、評価制度を運用するという責任は、これぐらいやってしかるべきでしょう。
被評価者の仕事が変わる場合
レアケースかもしれませんが、期中に配置転換が起きるなど、被評価者の仕事が変わり、結果としてメイン評価者が変わることがあります。
期末まで待てない事情があるなど、あまりポジティブな変更ではないかもしれません。
この場合、仕事もメイン評価者も変わり、変更前と変更後で目標も変わります。
変更前と変更後で担う仕事も変わるため、変更前の評価を変更後の評価者が引継ぐことが難しいことも。
よって、変更前と変更後で評価結果を案分することもあります。
様々なケースがあるので、方針に基づいて対応しながら、各ケースの事情を踏まえて個別対応することも有りだと考えています。