評価に基づく昇給ではなく、昇格に基づく昇給の場合、その金額決定に悩むことが多いと思います。
実践の場で経験してきた3つの方法を、簡潔に紹介します。
① もし、今、採用する場合のオファー額は?
この問いをマネージャー(評価者)に投げかけ、考えてもらいます。
新規採用よりも相手に対する情報はたくさんあります。
社内における周囲のメンバーの給与情報も加味して、改めてオファー額はいくらか、と。
とても定性的な問いではありますが、何も問いが無い状態から「いくら?」と質問されても、マネージャーは困ってしまいます。
この問いは様々な会社で活用できた汎用的なスクリプトだと考えています。
② 最低50万や100万のバーを設定する
「①もし、今、採用する場合のオファー額は?」は、上位等級への昇格時にフィットしやすい方法です。
下位等級でも活用できないわけではないのですが、昇格人数が多くなるため、もう少し判断を効率化したいという要望が上がってきます。
その際、最低でも50万や100万といった昇格昇給の金額を決めてしまい、プラスする場合はさらにアドオンする形を取ります。
50万や100万というのは、これぐらい給料が上がれば(インパクトがあって)モチベーションも上がる、という数字感です。
給与は、人によって受け取り方は千差万別ですが、ボリュームゾーンに対する現実的な数字として50万や100万は大きくズレていないと思います。
こうした1つの水準がガイドラインにできると、このガイドに合わないケースを異常値として認識することができ、重点的に議論対象にできることも魅力です。
この金額感は、経営者の個人的な経験や感覚に基づくものなので、設計する際は単刀直入にヒアリングしてしまうのが、手っ取り早いと思います。
③ 評価昇給を倍にする
「② 最低50万や100万のバーを設定する」に対して、50万も上げる必要がないケースも出てきます。
かといって、昇格昇給がゼロというわけでもない。
こうした際、わかりやすい方法として昇格時の評価昇給を倍にする、があります。
例えば、昇格時に5%の評価昇給であれば、評価昇給5%+昇格昇給5%=10%の昇給とします。
50万に近くなるケースもありますが、下位等級の年収がそれほど高いケースでなければ、50万や100万といった最低基準よりは低くなる可能性が高いです。
こうした方法を、内規として定めて運用に取り組むケースが多いです。
制度として全社員に公開してしまうと、どうしても例外ケースが出た際に説明コストが大きくなってしまうからです。
あくまでも、この運用は評価者の報酬決定を助ける観点で考えられたものです。
基準があれば議論しやすく、自動的にとっかかりができるので前進を後押ししてくれます。
もちろんこうした基準は導入せず、一人一人の報酬決定に向き合い、時間をかけて議論を尽くしていくことも、まったくもって間違いではありません。
各社のやりやすい形で仕組みや仕掛けをつくっていくことが大切だと考えています。