人事領域で見過ごされがちな価値として、コミュニケーションプランの企画があります。
人事制度の導入や改定について社員へ説明会を実施することもコミュニケーションプランの一部です。
説明会の資料やFAQをつくったり、想定Q&Aを準備したり、必要に応じて社員の方々に同意書を得るプロセスも入ってくるかもしれません。
コミュニケーションプランの価値の出しどころは、いつ、だれに、どうやって、なにを、コミュニケーションしていくのか、の戦略的なプランです。
単純に、スケジュールを引いてデッドラインから逆算して一斉に説明会をやるというのも間違いではありませんが、期待通りに意図や背景が伝わらなかったり、違った伝わり方をしてしまう懸念があります。
特に、だれに、何を(どの情報を)伝えるのか、その順番、スケジュール、テンション、ニュアンス、事前の情報展開など考えるポイントは、思いのほかあります。
わかりやすい話をすると、人事の話では「ポジション」「人(バイネーム)」「報酬(お金)」の話は注目度が高く、意識が集中してしまうため、重要メッセージと敢えてズラして伝えることがあります。
新組織の話をする際、バイネームの話は誰でも聞きたい話です。
制度やポリシーがいかにうまくできていようが、結局は「人」次第で、成功確度は変わってしまうとわかっているからです。
だからと言って、人の話にフォーカスしてはいけません。
人に意識が集中し過ぎてしまい、組織構造の意図や背景を正しく理解できなくなってしまうからです。
アンケートで「人のところを知りたい」と意見が出てきたら、それはプラスの反応として受け止めましょう。
「説明不足だ」と受け取る必要はまったくありません。
聞き手の興味関心・ニーズを喚起することに成功し、情報を欲している状態をつくることができたと評価します。
コミュニケーションプランは、経験に基づいて引き出しができる一方、課題、経営と社員の関係性、歴史、業績、カルチャーなど変数が無限なので、常にゼロベースで考えていくケースがほとんどです。
成功パターンは転用できませんが、失敗パターン(というか、「え、そうなる、、、」の経験)は転用できます。
なので、経験がものを言うと思います。
考え尽くして、想定外のパターンを経験することで強い引き出しが増えていくので、自分はコミュニケーションプランには、それなりの時間をかけて思考を深めています。
正しいかどうかはわかりませんが、クライアントにとってそれなりの価値に繋がっていると考えています。