評価者は、自己評価を見ずに評価してみよう

人事評価の細かい話です。

自己評価を見てしまうと、その結果に引きずられたり、ネガティブな気持ちになりかねないので、見ずに評価することを推奨しています。

 

自己評価を見ると、どういう影響があるのか?

評価者が評価をつける際、自己評価を見てしまうと、どうしてもその結果に引きずられてしまいます。

自己評価が高い場合は、なおさら。

そもそも評価があまり高くない方こそ、自己評価はなりがち。

ダニング・クルーガー効果とも呼ばれています。

 

その結果を見てしまうと、ピュアに成果や貢献をフィードバックする意識に、どうやって伝えようか、どうすれば本人は聞き入れてくれるか、納得してくれるか、といった重要だが本質ではない周辺事項に気を取られてしまいます。

もし、相手が面倒な方であれば、評価者の精神衛生上にも負の影響があります。

それが気になってしまいます。

評価者が評価をつける前に、自己評価に関する情報は必要ありません。

評価者が評価をつけた後、面談の直前もしくは関係者に評価情報をヒアリングする際に確認するぐらいがちょうどいいと思います。

 

自己評価が見えていないか

Excelやスプレッドシートの評価シートだと、自己評価の記入欄が評価者に見えていることがあります。

自己評価に引きずられており、自己評価が見えなかった場合と評価の結果・分布が変わる可能性があります。

 

自分は過去、クライアントさんから指摘されました。

「自己評価が見えると、スゴイ気になってしまうので見たくない。見えないようにできます?」と。

人事・組織に対して、とても感度の高い方でした。

 

当時のソリューションは、スプレッドシートにチェックボタンと条件付き書式を設定して、チェックするとセルが黒塗りになる方法。

前時代的なアナログ方式ですが、これで一定対処できました。

 

手間はかかりますが、自己評価シートと評価者評価シートを分けて運用したこともあります。

目標設定は自己評価シートで行い、評価者の評価は別シート(評価者評価シート)で行う方法です。

個人的には、大変だったなーという記憶です。

 

SmartHR社の人事評価機能を使えば、本人と評価者で評価の入力を異なるUIで対応できるため、非常にスマートに対処できます。

自分のクライアントさんは、制度導入当初はスプレッドシートで評価シートを運用し、一定のタイミングでSmartHR社のシステム活用に移るケースがほとんどです。

 

評価面談プロセスにも注意

以前、自己評価を実施後、評価者が面談を行い、自己評価とその理由をヒアリングして、その後評価者が評価をつけるプロセスを踏んでいた会社がありました。

個人的には、自己評価の影響が強く働いていると思います。

 

プロセスについて議論した際、「自己評価の説明を聞かない状況で、評価することはできない」と言われました。

できないことはないと思うのですが、建設的な議論が得意ではなさそうだったので「なるほど」と聞き流しました。

自分の仮説では、あまり評価がうまく機能しておらず、運用できていないように見えました。

 

この面談のプロセスがすべてダメ・NGとまで言うつもりはありませんが、自己評価の説明を聞くことの目的や効果は自分たちで言語化できるといいと思います。

自己評価の影響を受けていないか。

もし影響を受けている場合、どのように作用しているか。

その面談は必須なのか、それはなぜか。

 

自己評価の影響を強く受けた評価は、自己評価の説明を受けていない評価と変わってしまうことが懸念されるので、なるべく避けた方がいいかな、というスタンスです。

自己評価を高めにつけた方が得といった印象も与えかねないので、自己評価の影響はなるべく最小化したいと考えています。

 

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