等級制度・報酬制度に続き、評価制度の論点と選択肢を整理。
(1) 評価体系
- 成果評価
- 成果評価+行動評価(バリューを体現しているか?)
- 成果評価+行動評価+能力評価
補足)成果評価は目標設定型の評価。行動評価・能力評価は非目標設定型の評価にするケースが多い。自社のバリューがある場合、行動評価の評価項目にすることが多い。能力評価とは、バリューにはないが、評価したい項目がある場合に別軸で設定される評価体系。
(2) 評価期間
- 3ヶ月
- 6ヶ月
- 12ヶ月
補足)先が見えにくいスタートアップでは、12ヶ月の評価が成り立ちにくく、3ヶ月だと運用負担が重いため、6ヶ月に着地するケースが多い。ただし、上位職に限り12ヶ月にする場合も有り。
(3) 中間評価
- 無し
- 有り(必須)
- 有り(任意)
補足)運用の負担を考慮して中間評価を実施しないケースはあるが、フィードバックの機会や評価サプライズの抑止を理由に中間評価を実施するケースは多い。運用する過程で中間評価の廃止が提案されるが、結局生き残るケースが多い。
(4) 最終評価記号
- 無し
- 有り(成果評価と行動評価を合算)
- 有り(成果評価と行動評価に等級別係数を乗じて合算)
補足)基本は等級別係数を設定して最終評価記号を算出するが、社員にとって複雑さにつながる制度ゆえ、最終評価記号を設定せず、成果評価や行動評価の結果を直接、報酬制度の昇給や賞与に接続させることも有り。(例:成果評価が~~なら昇給は~%、など)
(5) 評価プロセス
- 自己評価後に、評価者が自己評価についてヒアリングする面談を実施(自己評価ヒアリング面談)
- 自己評価と評価者評価後に、お互いの評価について擦り合わせる面談を実施(評価擦り合わせ面談)
- 自己評価ヒアリング面談や評価擦り合わせ面談を実施しない
補足)評価会議などで評価が決定する前に被評価者と評価者で面談を設置するか否かが評価プロセスの論点。面談を設置することで運用の負担は重くなるが、その分、被評価者の自己認識の背景やロジックを把握できたり、話し合う機会があることで納得感の醸成につながることもある。
(6) 成果評価の評価尺度
- 少ない(3-4段階)
- 中間(5‐6段階)
- 多い(7-8段階)
補足)8段階の例は以下の通り。
- outstanding
- excellent
- very good
- good
- satisfactory(期待通り)
- almost
- improvement
- unsatisfactory
(7) 行動評価の評価尺度
- 少ない(3段階)
- 中間(4段階)
- 多い(5段階)
補足)5段階の例は以下の通り。
- 周囲の模範である
- バリューを体現している
- バリューを体現しているが、指導やフィードバックが多い
- バリューを体現できていない
- 周囲に悪い影響を及ぼしている
(8) 評価者体系
- 一次評価者・二次評価者
- メイン評価者・サブ評価者
- メイン評価者のみ
補足)一次評価者・二次評価者の場合、基本的に二次評価者が参加する評価会議で評価が決定され、その情報を一次評価者に共有されて、一次評価者から被評価者へフィードバックされる。メイン評価者・サブ評価者の場合、基本的にメイン評価者が参加する評価会議で評価が決定され、メイン評価者から被評価者へフィードバックされる。サブ評価者は、メイン評価者では見えない活動や貢献をサポート的に評価する役目を担う。
(9) フィードバックコメント
- コメント欄を設けない
- すべての目標や評価項目のそれぞれにコメント欄を設ける
- 成果評価に1つ、行動評価に1つ、能力評価に1つの粒度でコメント欄を設ける(すべての目標や評価項目にコメントする必要はなく、任意とする)
補足)特に行動評価のフィードバックコメントを記入する評価者の負担が大きい。被評価者が複数名いる場合、フィードバックコメントを書くのに時間を要するため、省力化するか否かが論点。
(10) 目標設定におけるミッション設定の有無
- ミッションを設定する
- ミッションを設定しない
- ミッション設定は任意とする
補足)ミッションとはすべての目標に対する目的を意味する。なぜ、それを目標として実現しようとするのか、という意味に当たる。OKRで例えると、Key Resultは目標であり、Objectiveは目的となる。
(11) 設定する目標の数
- 設定する目標の数は自由
- 設定する目標の数は決まっている(例えば5つの目標を決めないといけない)
補足)人や職種によって目標の数はバラバラゆえ、数は自由にすることが多い。
(12) 目標に対するウエイト設定
- ウエイト設定しない
- 合計で100%になるようにウエイトを設定する
- 主要な目標を1‐2つのみ設定する
補足)一般的には、合計が100(%)になるようにウエイト設定するが、期初に目標の見通しが立てにくかったり、期中に目標が変わりやすいといったスタートアップの傾向を考慮すると、主要目標のみ擦り合わせできれば事足りることも多く、運用負担の軽い主要目標の方法を取る場合も多い。
(13) 目標の基準
- 現在、格付けられている「等級」の等級要件に基づいて目標を設定する
- 現在、格付けられている「等級」の1つ上の等級要件に基づいて目標を設定する
- 現在の年収水準に基づいて目標を設定する
補足)基本的には、現在の「等級」の等級要件に基づいて(≒参考にして)目標の水準を考える。同じ等級でも人材レベルには多少の差があるため、例えばその等級に滞留している人の方が最終的に評価は高くなる傾向にはなる。ただ、等級別の報酬レンジには上限があるため、上位等級に昇格しない限りは一定の報酬水準で昇給は頭打ちになる。