人事制度設計6ヶ月、運用12ヶ月、フォローアップ6ヶ月で任務完了した人事制度プロジェクトの事例紹介

人事制度プロジェクトの事例です。

切りのよいスケジュール(期間)だったので、自分の振り返りのためにもメモを残します。

 

設計:6ヶ月

50名以下の会社でした。

まず等級制度の等級要件、報酬制度の報酬レンジを2ヶ月で設計し、個人別の仮等級を判定した上で、説明会を実施。

等級制度を先行導入し、4ヶ月のトライアル運用(仮等級の運用)に入りました。

※本来、等級判定の期間は6ヶ月ですが、会社の会計年度に合わせて、トライアル運用に限り「4ヶ月」としました。

 

仮等級のトライアル運用の間に、残テーマである等級制度の昇格・降格、報酬制度の昇給・降給、そして評価制度全般の設計に入ります。

この設計を約4ヶ月で完了させて、合計6ヶ月で等級・評価・報酬の3本柱を構築しました。

 

運用:12ヶ月

まず、トライアルで運用していた仮等級判定を捌きます。

全社員の等級判定を検証し、本等級を決定します。

このタイミングで、等級要件をアップデートしたニーズが出てきました。

等級要件そのものを変更したいというニーズと、職種別の等級要件を一部の職種にのみ導入したいというニーズです。

等級要件をアップデートして、社員へ周知します。

 

そして、本等級が決定したタイミングで、報酬制度における報酬レンジへ正式に移行し、レンジとミスマッチが起きているケースについて調整措置を施します。

年収ダウンの場合、激変緩和措置を設けて合意を得ながら、段階的に対応していきます。

 

評価制度は、プロジェクト開始から6ヶ月後のタイミングで導入され、目標設定から開始しました。

今まで、各マネージャーごとのやり方で行っていた目標設定を統一の枠組み(制度)で運用していきます。

とはいえ、自分の設計する制度は、ガチガチの制度ではなく、一定の緩みを持たせてマネージャーの裁量も認めた制度であるため、ガイドラインも添えて現場の方々に協力を依頼していきます。

 

目標設定から3ヶ月経過した時点で、中間評価を実施。

初めての人事評価プロセス(自己評価や上長評価、面談、評価会議など)を回しました。

個人の評価結果はもちろん、制度そのものや運用についても議論します。

 

目標設定型の成果評価ではなく、バリューを反映した行動評価も本ケースでは導入していましたが、定性的なバリュー評価基準を評価することの難しさに直面し、評価の方法を見直す方向になりました。

その後、議論を重ね、バリューの発揮度を設定した目標の活動の中でどのように発揮したのか、という観点で評価する制度に変更しました。

結果までの過程で発揮されたバリューを評価の中心に据えました。

ネーミングも、行動評価からプロセス評価に変更です。

(成果評価も、「成果」だけではないアウトプットも評価する意味合いで結果評価に変更しました)

 

前半6ヶ月の運用と制度改善は、弊社側でリードしました。

そして、後半6ヶ月でクライアント側の担当者の方々へ引継ぎを実施。

弊社も伴走しながら、わからないことや問題が起きれば都度解消していき、制度運用を移管していきます。

クライアントの担当者の方々が優秀で、何よりも当事者意識をもって取り組んでくれるため、我々も大いに助けられました。

 

運用の12ヶ月の間で制度改善が進んだり、評価システムを導入したり、評価や報酬に関するアンケートを実施して現場の声を吸い上げたり、と施策を進めました。

 

フォローアップ:6ヶ月

ここまでの1年6ヶ月は、弊社側で人事制度PJの定例Mtgをファシリテートしてきました。

Mtgオーナーを自分が担当し、アジェンダを作成し、Mtgをファシリするイメージです。

 

ちなみに、各フェーズの定例Mtgの頻度と時間は

・設計(6ヶ月)、週1回・60分

・運用(前半6ヶ月)、週1回・60分

・運用(後半6ヶ月)、隔週1回・60分

・フォローアップ(6ヶ月)、月1回・60分

です。

 

フォローアップでは、Mtgオーナーをクライアントに移譲し、自分はアドバイザリーとして参加します。

毎月、アジェンダに沿って議論してサポートしていきます。

Slackで繋がっているので、運用オペレーション上の質問などは非同期で対応しました。

 

このフォローアップ期間を経て、クライアントサイドで運用体制も整ってきたことから、自分たちはプロジェクトから外れます。

任務完了です。

 

正直、どのプロジェクトもこのケースのようにうまく(きれいに)任務完了になるわけではありません。

プロジェクトの途中で、進め方を変えたり、そもそもテーマを人事制度から組織設計や組織開発に方向転換する場合もあります。

 

そう考えると本ケースは、今後の指針となる事例でした。

至極当然過ぎるので、書くこと自体憚られますが、結局は、このようにプロジェクトがうまく着地する、双方に納得感高く遂行できるというのは、参加メンバー・体制次第ということです。

 

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