成長するスタートアップは、経営チームが組成されています。
他者・先輩からのアドバイスや経営者本人の直感で組成に動くわけですが、この動きができるか否か、つまりアドバイスを素直に受け入れたり、直感を信じて自分を変化させたりできるか否かで、会社全体の成長が大きく変ってきます。
採用にコミットする
経営チームの組成には、時間も労力もかかります。
イチ担当者を採用するとは影響度も難易度も違うわけで、経営者自身がコミットしなければなりません。
ここにコミットして動ける方が、スタートアップのリーダーに相応しい人材です。
採用するからには、期待値を言語化し、たくさんの候補者と話し、情報収集もしなければなりません。
手探りで自社が求める経営人材を探していくことは、なかなか先の見えない苦行です。
妥協すれば、「経営ポジション」という看板に惹かれてくる方を採用できるかもしれませんが、長期的にはインパクトをもたらしません。
高いレベルを求め、相性が良く、お互いに尊重できる方でなければいけません。
100人の会社で4人は必要
スタートアップが成長し、100人を超える頃に4人で経営チームが組成されていることが1つの目安です。
わかりやすくいえば、営業領域(ビジネス)の責任者、製品開発領域(プロダクト)の責任者、経営管理領域(コーポレート)の責任者、そして全体を統括する責任者です。
COO、CPO(またはCTO)、CFO、CEOと役職で示すと、よりイメージがわくかもしれません。
もちろん、この領域以外のCXO(CMO、CHROなど)でも構いません。
ただし、経営チームの人材を増やし過ぎるのも副作用があります。
意思決定スピードが遅くなることです。
100‐300名規模であれば、4名程度でスピーディーに経営することがスタートアップの姿だと思います。
50名前後だったら、2‐3人の経営チームでも何とかできる
経営チームが2人、もしくは3人で組成されたまま、変化しないケースがあります。
CEOとCTOで創業して、そのまま2名体制になっていたり、経営管理領域の責任者であるCFOがジョインして3名体制になっているケースです。
どちらの場合もCEOもしくはCFOが営業領域の責任者を兼務しています。
CEOやCFOとして活躍できる人材であれば、問題解決能力やコミュニケーション能力が高く、営業領域でキャリアを積んだ方であれば、全体統括のCEOポジションとCOOポジションを兼務できてしまったりします。
ただし、これは組織規模が50名ぐらいまでの話であり、100名を超えてくると一見できているようででいてきいない、が実態です。
ここでいう「できていない」とは何か。
- 経営人材を採用する
- 経営チームをチームビルドする
- 短期と中長期の戦略を考え、浸透させる
- キーパーソンのケア・コーチングを行う
- 突発的な経営課題に対処する
- 将来の組織課題に(事前に)対処する
- 社外との関係性を構築する
こういったことができず、イチ営業責任者として短期の数字を追いかけることになります。
スタートアップは目先の数字をつくることが最も大事であり、ここに経営者・経営陣がコミットすることは最も重要なテーマです。
これは真理なのですが、経営者は、この目先の数字をつくれる仕組み・環境をつくることが仕事です。
強みを活かす、役割分担などといった話もありますが、そうであれば経営者のポジションを別の方に渡し、自分の強みが活かせるポジションへチェンジした方が、会社の成長には寄与します。
経営チームの組成にコミットすると、今までのようなわかりやすい達成感を味わったり、人から褒められたりすることは少なくなり、うまくやればやるほど現場で顧客と接する面に成果が寄っていきます。
人(社員・メンバー)の成果を喜ぶことにやりがいを見出さないと、この役目を果たすことはできません。
いつまでも、自分のやりたいことだけをやっていても、会社は成長しません。
規模に合わせて、変化することが大事です。