スタートアップの報酬改定を「年2回(6ヶ月ごと)」にしている理由

スタートアップで人事制度を設計する際、報酬改定を年2回で提案しています。

 

年2回の理由

1つ目は、人材市場(採用市場)の変化にタイムリーに反応するためです。

年2回とすると、6ヶ月ごとに報酬改定のタイミングがやってきます。

その場で人事評価や等級判定(主に昇格)に基づく昇給を実施しながら、同時に市場における需給関係について定性的な議論を交わします。

必要に応じて、希少性が高い人や職種について、特別昇給を実施します。

このプロセスが年1回だと間隔が長くなってしまい、タイムリーに実行できません。

市場における報酬水準を反映している場合、年2回の6ヶ月ごとに議論・確認・調整することがちょうどいい「間」だと考えています。

 

2つ目は、評価を早く昇給に反映したいためです。

評価・フィードバックのサイクルを早く回し、その結果を報酬に反映することで効果を高めます。

結果・プロセスが良ければ昇給し、モチベ―ションを維持できるようにしていきます。

また、結果・プロセスが良くなければ、その意味合いについて報酬も加味してフィードバックできるようにします。

被評価者だけでなく、評価者にも評価や貢献について深く考えてもらう機会になります。

 

3つ目は、サプライズの影響を小さくしたいこと。

年1回の報酬改定だと、年1回の昇給・降給の金額よりも傾向として高くなります。

もし、そこで被評価者と評価者の評価にギャップが生じており、サプライズが起きてしまうとその影響度は大きく、かつ反省を活かして次回に取り返すのが1年先になってしまいます。

もちろん、これは報酬だけの問題ではなく、根本原因は評価の領域にありますが、もし起きてしまった場合の影響を大きくしないためにも報酬面でカバーしておくことが必要だと考えています。

 

年1回と年2回の運用コストの違いは大きい

報酬改定が6ヶ月ごとに行うか、12ヶ月ごとに行うか、の違いとして考慮しなければいけないことは運用コストです。

人が増え、制度が複雑化したり、イレギュラーケースも出てくる中で、年1回と年2回の運用コストが大きく異なります。

年2回にすることで、報酬決定やシミュレーション、給与計算に負担を強いることになります。

しかし、その分の負担はかけてもいいのでは、という思いもあります。

人事評価や報酬決定に無駄な負担をかけることはナンセンスですが、必要コストであれば投下すべきです。

自分は、きれいごと抜きに報酬は重要であると考えているため、年2回の負担は必要条件だと考えています。

一方で、年4回や毎月の柔軟な報酬変更をルールしてしまうのは、やり過ぎだと思う部分もあり、人事評価や等級判定、目標設定など様々な人事マネジメントを考慮して年2回が適度な機会だというスタンスをもつようになりました。

 

定期昇給を「年1回」にするオプションは有り

年2回の報酬改定を提案しており、2回とも定期昇給として人事評価に基づく評価昇給を行い、対象者のみ等級判定に基づく昇格昇給や市場の変化に基づく特別昇給を実施します。

ただし、人事評価に基づく昇給を年2回実施することで、人件費アップを懸念するケースはあります。

昇格昇給や特別昇給など、人や市場の変化に応じてタイムリーに報酬改定を実施したいと思う一方で、多くの社員が対象となる評価昇給を、6ヶ月という定期で実施することに経営上のリスクを感じとるケースです。

 

書いていて思いましたが、定期昇給である評価昇給は年1回として、昇格昇給や特別昇給は年2回で実施するオプションも有りかもしれません。 ※自分は、この形で制度設計したことはありません。

人事評価は年2回だとしても、2回分の評価をマージするルールを設計し、報酬への反映は年1回にする方法です。

報酬改定の対象者も少なくなり、オペレーションの負担を下げることもできます。

 

年2回から年1回に変更するとなると、不利益変更ですし、社員にとっても見え方は良くないため、やるなら初めて制度導入するタイミングから、この制度を取り入れた方がいいかもしれません。

 

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