スパンオブコントロール。マネージャーは、何名まで部下を持つか?

組織設計する際、スパンオブコントロールを考えて設計するか否かで組織構造は大きく変ってきます。

できる・できないを無視して組織を設計しても、実際に正しく動きません。

意思決定が遅い、誰にレポートすればいいかわからない、といった問題に対して、「人の能力が低い」という原因だけで処理してしまっては先に進みません。

組織設計する際、最低限、意識しておきたいルールを考えます。

 

スパンオブコントロールとは?

過去に色々と調べたのですが、起源はわからず、、、

以前聞いた話では軍隊用語であり、、隊長が何名までをコントロールできるか、がスパンオブコントロールの起源だったような、、、

 

組織設計では、一人のマネージャーが何名の部下を持つか、がスパンオブコントロールです。

「部下」という言葉にアレルギーがあるケースもありますし、自分も普段はあまり使わないのですが、今回はわかりやすく「部下」という言葉を使います。

これも起源はわかりませんが、スパンオブコントロールは「7名」とかって書かれている記事も見たりします。

 

ただ、この人数って様々な前提に影響を受けるわけであり、一律の数字を決めることが正しいとは思いません。

話を簡単にするために「5」や「7」と置くことはアリですが、それを絶対的な基準として使うと失敗します。

 

影響を与える要素

①マネージャー本人の能力や経験
経験豊富な方と初心者であれば、マネジメントできる人数は変わってきます。
ただし、経験豊富でも限界はあると思いますが。

 

②仕事内容
マネジメントは基本的に非定型的な業務になりますが、その難易度・影響度は異なります。
そのチーム・部署に閉じた影響度か、全社に及ぶか。
短期か長期か、など。
影響度とも言えますし、仕事の難易度とも言えるかもしれません。

 

③仕事の仕方
リモートワークか否か、も影響を与えると思います。
完全リモートワークの方が、マネジメントは難しいのでは、という仮説です。
しかし、仕組みの巧拙やカルチャーによっても違いが出るかもしれません。
リモートワークの方が楽だよ、という場合もあるかもしれません。

 

④プレイング割合
プレイングマネージャーかノンプレイングマネージャーか。
プレイングマネージャーであれば、マネジメントできる部下の数は減ります。
下位階層やバックオフィスは比較的プレイングマネージャーが多いので、スパンオブコントロールは小さくなる傾向があります。

 

⑤マネージャーの仕事
チームの目標設定から進捗管理、振り返り。
人の採用、評価、育成。
他部署との調整を担ったり、他部署・全社への発信の役目とする場合もあります。

 

 

仕事内容 x プレイング割合

他にも要素はあるかもしれませんが、いったんこの5つとしたとき、特に影響が強そうな②と④を2軸にして考えてみます。

4象限に分けた場合、それぞれの象限におけるスパンオブコントロール(人数)を定義しました。

 

【A】影響度・難易度が高くないプレイングマネージャー
スパンオブコントロールは、5名。
プレイヤーとしても目標責任を担うので、業務量が増える可能性があります。

 

【B】影響度・難易度が高いプレイングマネージャー
【A】よりも人数は減って3名。
もしくは3‐5名とすることもできるかもしれません。
部下マネジメントに避ける時間も減ってくるので、数を減らしました。

 

【C】影響度・難易度が高くないノンマネージャー
【A】よりも人数は増えて10名。
非定型業務でありながら、ある程度、標準化・仕組化・自動化できる要素があります。
ピープルマネジメントがマネジメントの中心となります。

 

【D】影響度・難易度が高いノンプレイングマネージャー
より経営に近い層がここに入ってきます。
スパンオブコントロールは、5名から7名でしょうか。
能力値が高ければ7名ぐらいまでいけそうですが、ここの人数を増やしてしまうと、組織の上位階層がボトルネックになってしまい、組織が機能しない最大の要因となってしまいます。
経営者が権限移譲できずに、10名や20名を実質的にマネジメントしている場合、組織がまったく機能しなくなるので、注意が必要です。

 

なお、この数字は組織規模が100人か、300人か、1000人か、によっても変わってきます。

組織規模が大きくなるほど、組織上位層のスパンオブコントロールは小さくなります。

取り扱う情報量が増えるためです。

 

あれもこれも、と手を出しても組織は機能しません。

やらないこと、手放すことを決めることが組織設計では求められます。

 

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