スタートアップの人材マネジメントで知っておくべき「Aクラス人材」の定義。Aクラス人材とは、1の期待に対して3や5の成果を返すだけの人ではない

スタートアップの経営で大事なことは、採用です。

Bクラス人材で満足せず、Aクラス人材を採用しなければなりません。

そして、Cクラス人材を採用してはいけません。

Aクラス・Bクラス・Cクラスの意味合いをメモします。

 

Cクラス人材

いわゆる問題社員です。

1の期待に対して、「x-5(かけるマイナス5)」が返ってきます。

1の期待が「0(ゼロ)」で返ってくるのではなく、マイナスになって戻ってきます。

例えば、指示された仕事をやらず、単にアウトプットがなかったという事態に収まらず、それがクレームにつながり、上長の謝罪や原因調査、アサイン変更といった負担につながります。

 

依頼した発注が行われていない。

重要なメールが返信されていない。

提案資料の誤植が修正されていない。

 

なぜ、指示された仕事をやらないのか。

上長からすると理解不可能です。

 

能力的にできなかったのか、忘れてしまっていたのか、意図的に無視したのか、、、

いや、能力的にできない仕事ではないし、リマインドもしたのに、、、

意図的に無視したとしたら、なぜ無視するのか、無視する理由なんてないけど、、、

理解できない。

これがストレスとなります。

 

与える仕事がなくなり、Cクラス人材への仕事をクリエイトしなければならず、脳への負担もかかります。

Cクラス人材は、ローパフォーマーではありません。

会社に問題を引き起こす「問題社員」なのです。

 

このとき、相手の行動原因を分析しようとしてはいけません。

理解の範疇を超えるケースがあります。

-5(マイナス5)になって戻ってくると理解してください。

 

Bクラス人材

1の期待に対して、2や3、ときには5で返ってくることもあります。

また、コンディションが悪かったり、運が悪かったりすると0(ゼロ)の場合もあります。

 

相手の能力水準や経験によるところは大きいですが、相性も大いに影響を及ぼします。

相性の良い組織であれば、パフォーマンスは高くなります。

 

組織的に採用の経験が少ない場合、Bクラス人材に満足してしまう傾向があります。

決して問題社員でもないし、パフォーマンスは出ているので当然と言えるかもしれません。

 

懸念は、そのパフォーマンスが維持できるのか、またさらに高い期待に対してパフォーマンスを高められるのか、です。

例えば、人材レベルは3等級で自律的な人材と評価され入社し、その後、数年で4等級に昇格。

より高い期待を求められたときに、どうなるか。

ここがポイントです。

 

人材育成の経験が豊富で、スキルの高いマネージャーがいれば、問題ないでしょう。

ただし、スタートアップにはなかなかこの手のマネージャーはいません。

成果を残すことに長けていたとしても、長期的な視点で人を育てることはできなかったり、そもそも期待されていなかったり、と人を引き上げることができない環境になっていることも少なくありません。

 

すると、入社から2‐3年は期待通りとなっている一方で、その後は期待未満とまではいかないまでも、何となく物足りない平凡な水準に落ち着いてしまうこともあります。

ときには、1の期待に対して3や5を残してくれるため、ハイパフォーマー、つまりAクラス人材だと思っていたら、そうでもないかも、と思い悩むことになります。

 

Aクラス人材に会わずにBクラス人材だけで組織づくりを進めると、経営陣の目線も上がらず、常にマネジメントし続ける組織になります。

もちろん何でもかんでも権限移譲すればいいわけではありませんが、役割分担が進まず、事業は成長する一方で、組織に前進感を感じられません。

 

この状況を打開するためには、組織づくりの早いフェーズ、イメージで伝えるとスタートアップの30人未満の組織のフェーズで、早めにAクラス人材に会い、採用活動を行い、人材獲得することです。

その上でも、Aクラス人材の意味合いを理解しておくことが大事です。

 

Aクラス人材

1の期待に対して、3や5で返す「だけ」の方ではありません。

もちろん、ハイパフォーマンスは、Aクラス人材の一つの要件ではありますが、ここだけに目が行ってしますと、人材の見極めがうまくいきません。

大事なことは、そもそもの「期待」を自ら設定し、経営に提案できることです。

思いのほか、この視点が意識されていることが稀です。

 

経営が期待したことを遂行するのではなく、自ら経営状況を分析し、課題を発見・設定することがAクラス人材の要件であり、その課題の質がAクラス人材の質に直結します。

Aクラス人材になり得る人であれば、実行面での差は大きくありません。

Aクラス人材であれば、「やり切る」ことができます。

 

ただし、何をやり切るのか。

どのようにやり切るのか。

そして、そもそもなぜそれをやり切るのか。

 

この観点を自ら整理し、動けるのがAクラスです。

「自ら」というのは、「独力で」とは違います。

一人でやるのではなく、チーム・組織を巻き込んで協業しながら実行します。

「自ら」というのは、自らリーダーシップを取って周囲に影響力を及ぼしながら実行できる、とまで含意しています。

これがAクラス人材です。

 

Aクラスを知らずに、Bクラス中心で組織づくりをすると、マネジメントがいつまで経っても大忙しで、かつCクラス人材が紛れ込んだ際にもBクラス人材に対するローパフォーマーという認識のもと、Cクラス人材に合わせて仕事づくりを自らのミッションと勘違いし、Cクラス人材と向き合い続けることになります。

その過程で、降格させたり、降給させたりと人事権を使うようになってしまい、人事権に対する認識も歪み始めます。

やっかいなのは、事業の筋が良いとこのような組織でも300人から500人組織までは成長できてしまうこと。

しかし、一定の規模まで成長すると限界に到達し、そこからは一歩進んで二歩下がるを繰り返します。

当事者たちは進んでいる感覚ですが、実態は後退しています。

 

Aクラス人材を採用できた組織では、Bクラス人材にAクラス人材をお手本として成長指針を示すことができます。

ただやり切るだけでなく、自ら課題を発見し、解決することで仕事の楽しさも提供することができます。

そして、Bクラス人材との相対ではなく、Aクラス人材とBクラス人材との相対でCクラス人材を評価できるため、ローパフォーマーではなく、しっかりと問題社員として認識できるし、Aクラス人材がこの問題を放置しておくことはありません。

早めに対処すべき、と声を上げることができます。

こうして、組織づくりに差ができてきます。

 

補足すると、「Aクラス人材=5等級や6等級の上位等級の人材」ではありません。

2等級や3等級の中にもAクラス人材はいます。

恐ろしいことに、Cクラス人材も2等級や3等級の中だけでなく、5等級や6等級の中にいます。

5等級の高い期待に対して、マイナスで返ってくると、事業推進どころではありません。

組織課題に忙殺されてしまい、仕事に集中できない環境ができあがります。

 

まず、Aクラス人材・Bクラス人材・Cクラス人材に対する認識から揃えていきましょう。

 

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