外部からの環境要因という言葉は、使い方に注意しないといけません。
なぜなら、外部からの環境要因がない仕事はないので。
目標を設定し、実績を評価する成果評価の場合、どうしても「外部要因が・・・」といった話が出てきます。
話の意味は理解できますし、影響度もわかるのですが、評価や報酬に反映してしまうが、歪みが生じます。
極論ですが、全員が「外部要因が・・・」といった話をした場合、会社の成果はゼロでも全員の評価は高くなります。
結果、業績が下がっていても昇給率が上がったり、賞与の振れ幅が上がったり、と経営にとっては困った状況になります。
この前提が擦り合った上で、「とは言え・・・」のスタンスで議論ができると健全なのですが、この前提がない状況で議論が始まると対立構造が生じます。
要は、こうした状況で工夫して対処してきたかで当人の成長度は変わってくるわけです。
どんな状況でも、当人でコントロールできない領域はあるわけで、それをやりくりすることが専門性であり、能力です。
「とは言え」、どうあがいても「外部要因が強すぎて・・・」という度合いの問題はあります。
そのときは、目標設定で工夫するしかありません。
外部要因の影響が強すぎる成果目標をプロセス目標に変えて、そのプロセス部分に注力します。
最終成果である売上・利益とその前工程は、常に相対的関係であり、絶対的なポジションが決まっているわけではありません。
被評価者の実力(等級)や環境、自社のミッションを踏まえて、目標の相対を意識し、目標設定していきます。
これは人事の専門性というよりは、事業部マネージャーの目標設定スキルです。
人事がおかしな提案をしてきたら、きちんと事業部側で目標設定の考え方を整理して提案していくと、人事側の目標設定リテラシーも高まっていきます。
相互作用が大切です。
こういう状況を考えても、やはり人事を担う方は、現場経験が大切だということ。
営業でも開発でも生産でも、ライン業務を担い、明確な成果に対して責務を負った経験が、人事に現実味をもたらしてくれます。
ネットワークという観点のメリットもあるかもしれませんが、断然、仕事の質の違いを学ぶことに大いなるメリットがあります。
ライン業務から人事へ異動するケースが多いかもしれませんが、人事からライン業務への異動も検討したいところです。
異動に対する理解もまったく変わってくるし、人事パーソンのキャリア開発にとって、この異動はマストだと日々思いは強くなっています。