人事制度事例【2】関西ペイント

出典:労政時報4078(2024年6月14日発行)

従業員数:16,236名(連結)

 

等級体系マネジメント(M)とプロフェッショナル(P)の複線型
等級数M1-3、P1-3
等級要件
昇格総合職から経営基幹職への昇格には、外部機関のアセスメントを実施
降格Mで役職を外れたらPとなる(総合職には降格しない)
役職定年
評価期間成果に関する評価は6ヶ月、行動・プロセスに関する評価は3ヶ月
評価者一次評価者・二次評価者
評価段階5段階
評価記号SABCD ※B=標準
評価プロセス
成果に関する  評価・成果評価
・目標管理方式
・6ヶ月に1回
・賞与に反映
・等級別の相対評価
・5段階評価
行動・プロセスに
関する評価
・役割評価
・6ヶ月に2回、平均値を算出
・昇降給、昇降格に反映
・3段階評価→6ヶ月平均は5段階に変換
・絶対評価
※直近の行動に引っ張られないように3ヶ月評価を平均化
360評価無し
報酬レンジ  重複あり
給与項目
給与改定頻度年2回(半年に1回)
昇給・B評価は昇給無し
・全等級一律の昇給額
・昇格昇給有り
降給降給を導入
賞与・会社業績連動のポイント制
・年2回(6月と12月)
・評価係数は全等級一律
報酬移行報酬水準は維持
調整措置
人材開発スキルなどの人材情報をダッシュボード形式で可視化する「タレントボード」とサクセッションプランの接続

 

所感

参考になったことは、標準評価であるB評価で昇給無しの観点。

成果に関する評価は相対評価を導入しているため、分布規制次第ではあるが、昇給無しのゾーンを一定つくっているはず。

あと行動・プロセスに関する評価で、3ヶ月の評価を2回分平均して6ヶ月間の半期評価を決定している観点もあまり個人的には経験していない設計。

直近の評価に影響を受け過ぎないように、という意図だが、本質的に考えると直近の活躍に影響を受けることを前提とした制度設計になっている。

ただ、人事評価に平均の概念を入れると、わりに評価者の思った通りの評価にならなかったり、調整が必要になったりすることが多い。

 

等級ごとに昇給額や賞与係数が一律になっているルールに、どれほど納得感があるのか、は興味深い。

これほどの規模の組織になると、こういうルールは逆年功序列に機能するようにも思うので、それを意図して設計しているのかと勘ぐってしまうところがある。

 

最後に、MとPの複線型についてMを外れたらPに移動する仕組みは一般的だが、Pのポジション価値を下げてしまう可能性も否めない。

Pの位置づけを明文化しないと、Pに位置づく方々の活躍をドライブすることはできないだろう。

自戒を込めて、考えるキッカケにしたい。

 

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